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文化

釜山国際映画祭、注目のポイント

#成川彩の優雅なソウル生活 l 2023-10-05

玄海灘に立つ虹


今日は作品紹介でなく、釜山国際映画祭についてお話したいと思います。昨日10月4日に開幕し、13日までの10日間開催されるのですが、私は今日遅くに釜山入りする予定です。今回の注目の作品やイベント、特徴などをご紹介したいと思います。
一番見たかった開幕作を見逃してしまって残念なのですが、『韓国が嫌いで』という映画で、このコーナーでも原作のチャン・ガンミョンの同名小説を紹介したことがあります。映画のほうは『ひと夏のファンタジア』で知られるチャン・ゴンジェ監督、主演はコ・アソンで、原作もおもしろかったので、どんなふうに映画化されたのか、とっても気になっています。劇場公開を待ちたいと思います。

釜山映画祭は今年、内部のややこしい事情があって、執行委員長と運営委員長が空席/代行という状態で、映画祭のホスト役はなんと、俳優ソン・ガンホが務めるんですね。昨年のカンヌ国際映画祭で主演男優賞を受賞し、韓国映画界を代表する「顔」と言ってもいいと思いますが、そのソン・ガンホがゲストの監督や俳優を迎える役割を務めます。
そして今年のアジア映画人賞は香港の俳優、チョウ・ユンファが受賞するということで、チョウ・ユンファ主演『男たちの挽歌』(1986)や『ワン・モア・チャンス』(2023)などが上映されます。昨年はトニー・レオンが受賞し、香港の俳優が2年連続の受賞となりました。

ⓒ Hook Entertainment
私がとても楽しみにしているイベントの一つは「アクターズハウス」という俳優のトークイベントで、今年はユン・ヨジョン、ソン・ジュンギ、ハン・ヒョジュ、ジョン・チョーが登壇する予定です。これまでの俳優人生を振り返り、出演作のビハインドストーリーなどをたっぷり語ってくれるイベントで、今年で3年目です。ソン・ジュンギは今月韓国で公開予定の最新作『花郎(ファラン)』についても語ってくれるかなと期待しています。
ジョン・チョーはアメリカで活動する俳優で、『サーチ』(2018)という映画に主演していました。ストーリーがパソコン画面上で展開するという斬新な映画で印象的だったんですが、今年の釜山映画祭の特別企画の一つが、「コリアン・アメリカン」なんですね。近年、アメリカで活動するコリアンの監督や俳優が目立って増えているんですが、その一人がジョン・チョーであり、『ミナリ』や『バーニング』にも出ていたスティーブン・ユァンです。ということで、今年は『ミナリ』や『バーニング』の上映もあります。


その他の上映作の中では、チャン・リュル監督の『白塔の光』が個人的に気になっています。今年のベルリン国際映画祭コンペティションに出品されていました。チャン・リュル監督といえば、中国出身の朝鮮族で、韓国でもたくさんの作品を撮っていて、『春の夢』は釜山映画祭の開幕作として上映されましたが、近年は『福岡』『柳川』など日本で撮った作品でも知られています。『福岡』は韓国映画、『柳川』は中国映画でした。今回の『白塔の光』は中国で撮った中国映画ということなんですが、早く見たくてうずうずしています。
コリアン・アメリカンの活躍もそうですが、越境する映画人が増えてるなあという感じがします。中でもチャン・リュル監督は日中韓の境界を超えた作品を作り続けている、特別な存在だと思います。


そして今回は日本の著名監督、俳優もかなりたくさん参加しています。韓国でも人気の是枝裕和監督、昨年はソン・ガンホ主演の『ベイビー・ブローカー』で話題になりましたが、今回は『怪物』で招待されています。これで釜山映画祭に招待されるのは12作品目だそうで、ほぼ毎作、釜山で上映されているということですよね。『怪物』は日本では公開されましたが、私は今回釜山で初めて見るので楽しみにしています。ゲストトーク付の回を予約しました。
他にも 濱口竜介監督『悪は存在しない』、岩井俊二監督『キリエのうた』、石井裕也監督『月』、山下敦弘(のぶひろ)監督『1秒先の彼』などなど、挙げるときりのないほど日本映画がたくさん上映される予定で、その出演俳優たちも続々、釜山を訪れているようです。
人気の作品はすぐにチケットが売り切れてしまって、参加を断念する人も多いようですが、監督や俳優が野外舞台で作品について語るオープントークなど予約なしで見られるイベントもたくさんあるので、ぜひ、今年でなくとも一度釜山に足を運んで、楽しんでみてほしいと思います。

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