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文化

「チャンタリョン」ほか

#国楽の世界へ l 2023-11-07

国楽の世界へ

「チャンタリョン」ほか
最近は家の近くにスーパーマーケットがあり、夜中にもネットで買い物ができます。でも、昔は買い物をするためには、5日に一度開かれる村の市場に出向いたものです。隣り合う村では、一日や二日おきで市場が開かれました。商人は市場が終わると品物を背中に背負い、次の村へと移動してまた商売をしました。彼らのことを、色んな場所を回って商売をする人々を見下げた表現で、「チャンドルベンイ」と言いました。イ・ヒョソクさんの短編小説、「메밀꽃 필 무렵、そばの花が咲く頃」という作品は、このチャンドルベンイのお話です。白いそばの花を満月が照らす江原道(カンウォンド)ボンピョンの夜、隣の村に移動していたチャンドルベンイが、その景色に感動し、思い出話を始めます。そのお話の中で、出生の秘密を知ったり、生まれる前に消息が分からなくなっていた父親と出会うという内容です。仮に、チャンドルベンイが思い出話の代わりに歌を歌ったなら、きっと「チャンタリョン」という曲を歌ったことでしょう。地域の市場の特徴を歌う曲です。

今でも地方に行くと、5日に一度市場が開かれることがあります。昔のように色んな村を回る商人もいますし、野菜や穀物を背負い田舎のバスに乗って参加する高齢の方を目にすることもあります。また、壊れた傘を直したりと、生活に欠かせない細かい作業をしてくれる方もいます。必ずしもお金を稼ぐという目的だけでなく、人に合うために出かけるのです。以前は市場の片隅で、サーカスのような公演をして薬を売る人や、ガクソリペという群れもいました。ガクソリペは、ユーモアな歌で人々を楽しませ、物乞いをする集団です。歌を披露するという点が、普通の物乞いとは違います。彼らが歌う歌も「チャンタリョン」と言いますが、サビの歌詞から音をつけて、「プムバタリョン」ということもあります。日本植民地時代に活動した、キム・チョンジョさんは、偶然手に入れた針ひと組でコイを釣ったお話や、市場で販売する洋服の種類を続けて歌う内容などで「チャンタリョン」を構成しました。

市場で騒がしく歌う、ガクソリペの「チャンタリョン」は、久々市場を訪れた人々には面白い見ものでしたが、本格的な歌ではありません。ところが、「チャンタリョン」が好きな人々が多かったからか、専門の歌い手も「チャンタリョン」を歌い始めました。パンソリ、「フンボの歌」には、欲張りなノルボがヒョウタンを割るときの歌があります。ヒョウタンの中からガクソリペが出てきて「チャンタリョン」を歌い、ノルボの財産を奪って行くという場面です。また、ナムサダンペという集団の人形劇では、お葬式で「チャンタリョン」を歌う場面もあるんです。古くから色んなバージョンの「チャンタリョン」が伝わっていますが、現代に入ってからは、キム・ヨンウさんの「チャンタリョン」も広く親しまれています。ピアノやドラムなど西洋の楽器の伴奏に合わせて元気に歌う曲でした。

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