セウォル号惨事から10年、記憶と記録
2024-04-19
東京電力福島第1原発からでる汚染処理水を海に放出することが決まりました。
日本政府は13日の閣議で、福島第1原発から排出されている放射性物質のトリチウムを含む汚染処理水を海洋放出する方針を正式に決めました。
それによりますと、浄化装置の多核種除去設備で汚染水からトリチウム以外の放射性物質を基準未満になるまで除去することにしています。
ただ、技術的にトリチウムは取り除けないので、海水で十分に薄めて、福島県沖の太平洋に放出するとしています。
放出のための装置の整備や原子力規制委員会の審査が必要で、実際に放出が始まるのは2年後になる見通しです。
放出計画が完了するまでには数十年がかかるとされています。
日本政府は、処理水はほとんどの放射性物質が取り除かれ、放出する際のトリチウムの濃度を国の基準の40分の1程度に海水で希釈することから、海に放出しても安全だと主張していますが、問題はその量が膨大だということです。
汚染水の処分は福島第1原発の廃炉作業を進めるにあたって避けられない課題となっています。
東京電力は福島第一原発から発生する冷却水を処理して敷地内のタンクに貯めていますが、すでにその量は125万トンを超えています。
処理水は現在も増え続けていますが、新たにタンクをつくる敷地の確保も難しく、海洋放出が検討されていました。
処理水の海洋放出は、日本から近い韓国にとって重大な懸念事項となっています。
韓国政府は13日、日本政府が処理済み汚染水の海洋放出を決めたことについて、韓国側と十分な協議がないまま一方的に決められた方針だとして、強い遺憾を表明しました。
中国外交部は、「周辺国との十分に協議した上で、慎重に処理方法を決めるべきだ」として、日本政府に「責任ある行動」を求めました。
処理水の海洋放出について、IAEA国際原子力機関は、大量の処理水が放出されるのは「特別で複雑な例」としながらも、「技術的に可能であり、国際的な慣行に沿ったものだ」として歓迎する意向を示しました。
また、アメリカ国務省は、「日本政府が世界的な原子力安全基準に沿った方法を採用したようだ」と評価しました。
今のところ汚染処理水の海洋放出に強く反発しているのは韓国や中国などの周辺国にとどまっています。
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