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韓国は「葛藤」世界第1位

#マル秘社会面 l 2022-03-16

玄海灘に立つ虹

ⓒ Getty Images Bank

今回の大統領選挙を総括する一番ピッタリの単語が「葛藤」だという分析がでています。保守と進歩、慶尚道と全羅道、20代の男性と20代の女性、それぞれの葛藤、対立が生み出した結果だということです。そしてその背景には不平等と格差があります。これに対する具体的な調査結果があります。

イプソスがキングス・カレッジ・ロンドンの政策研究所と共同で世界28カ国で実施したオンライン調査でさまざまな不平等について質問したところ、対象者の60%は、所得と富の不平等は国に影響を与える最も深刻な不平等であると回答しました。そして韓国はこの調査の12項目中7項目で参加28カ国中1位を占めました。この場合の1位は決して名誉なことではありません。不平等だと思う、葛藤がある分野が世界で一番多いということです。具体的には「貧富の葛藤」「理念の葛藤」「政党間の葛藤」「世代間の葛藤」「男女間の葛藤」「宗教間の葛藤」そして最後が「学力間の葛藤」です。

フランスの経済学者トマ・ピケティ氏らが運営する「世界不平等研究所」によると、韓国は2021年上位1%の富裕層の所得が全所得に占める割合が14・7%です。上位10%で見ると、全体の46・5%を占めています。それだけ富裕層と低所得者層の格差が大きいことがわかります。

また大企業と中小企業、正規労働者と非正規労働者の賃金水準の差も広がっています。大企業に対する中小企業の賃金水準は、韓国雇用労働部のデータによると2000年に65・0%でしたが、2021年には54・5%まで下がっています。ほぼ半分です。また、正規労働者に対する非正規労働者の賃金比は2021年で53・0%と、これも約半分です。

2004年以降、労働者全体に占める非正規労働者の割合は30%台で緩やかに下降する状態が続いていましたが、文在寅政権になってから増加しました。2017年に32・9%だった割合は2020年には36・3%まで上がっています。


このような対立をどう解決していくか。この点に関して日本のニッセイ基礎研究所の金明中・主任研究員は朝日新聞とのインタビュー記事でこんな意見を述べています。

学歴と就職のミスマッチを解消することが先決ですが、それには教育システムの改善が必要です。一つの方法として、専門学校の育成が挙げられています。これは日本から学ぶべき点でしょう。大学進学率が7割の韓国に比べて日本は55%前後で、その代わりに専門学校への進学率が20%ほどを占めています。専門学校に行く人は、大学に行く人と卒業後に向けた目線が異なります。必ずしも大企業を目指すわけではなく、大企業でなくても専門技術を生かせる職業に就きたいと考える人は少なくないでしょう。その分、ミスマッチが減ります。それに加えて、職業の規制緩和も重要になります。 職業の多様性を深めることで就職の選択肢が広がり、ミスマッチはさらに減るでしょう。


また韓国中央大学のキム・ヌリ教授は

すべての問題の根源は教育にあり、今の韓国社会は生まれた時から、それこそ幼稚園に入学した時から教室は民主化が崩壊した無限の競争の場となる。そこに根本的な原因がある。そういう教室の中で民主市民となる、成熟した市民となることを学ばなくてはならず、成熟した市民になれればそういう社会も作れる


と話しています。「葛藤」世界第1位という不名誉な記録、5年後には解消されていることを祈ります。

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