メニューへ 本文へ
Go Top

ⓒ Getty Images Bank

今年になり韓国では山火事が大幅に増加しています。全国各地で起きている山火事の件数はすでに今月2日現在で歴代2番目の多さです。 

山林庁によると、山火事発生件数は増加傾向にあるといいます。2012年に197件だった山火事発生件数は2021年には349件に増え、2019年、2020年には600件を超えました。平均山火事被害面積も拡大し、山火事の時期も多様化しています。 歴代の山火事の60%が4月に起きていました。しかし最近は夏・冬の区別もなくなりました。この5年間には7月の山火事が年平均8件発生しています。「遅い梅雨」や「乾いた梅雨」が増えているからです。専門家は異例な高温乾燥の天気が山火事の規模と速度を速めていると分析しています。山林庁は「今年の春は例年よりも早く温かくなり、乾燥した天気が続き、春の山火事が重なる時期が早まっている」としています。気候変動と関連付ける専門家もいます。国連環境計画は2022年2月、気候変動と山火事は「相互悪化」関係にあり、2030年までに大規模な山火事が最大14%増加すると予想しています。

またこの27年間発生した大規模な山火事の半分以上が東海岸地域で起きたものでした。これまで山火事と言えば主に都市から離れた山間部で起きていましたが、今や都市も無事とは言えません。2日に起きたソウル仁王山の火災では、サッカー競技場21個分にあたる15ヘクタールが燃えました。専門家は「風が強ければさらに3,4倍の被害が出ていたろう。北岳山、道峰山をはじめとしてソウル近郊の山には松のような針葉樹が大きいため、ソウルも決して山火事安全地帯ではない」と指摘します。松は引火性が高く、山火事に弱いと言われています。国立山林科学院の研究員は「気温が上がり、天気が暖かくなるというのはそれだけ人の活動も増加するということ。結局、山火事は人の行為により発生するのでソウル、仁川などの人口密度の高い所ほど山火事の発生率は高くなるほかない」と言います。

では日本と比べるとどうでしょう。日本の林野庁によれば年間の発生件数は約1200件(2015~2019年の平均)。全国で毎日約3件の山火事が起きている計算です。全体のおよそ7割は空気が乾燥する冬から春(1~5月)にかけて集中しています。そして被害面積は平均643ヘクタール。一方韓国は年間の発生件数は去年が756件、この10年(2013~2022年)の平均は536件で日本より少なくなっています。しかし被害面積が違います。去年の被害面積は24797ヘクタール、10年間の平均でも日本のおよそ6倍にあたる3559ヘクタールです。

山火事の原因は日本がたき火が30%で最も多く、以下、野焼き、放火、タバコと続き、これは韓国でも同様で、春先に野焼きをしたり、登山客のタバコなどが原因です。またアメリカなどと違い、落雷などの自然現象による山火事がまれな点も日本と韓国は同じです。ではどこが違うか。日本は何と言っても全般的に湿度が高い気候であることが山火事の被害を少なくしていると言えます。

では韓国はどうか。最近の乾燥した天候もそうですが、他にも原因はあるようです。ノクセク(緑色)炭素研究所のシン・ユグン所長は韓国は人工林の比率が圧倒的に多いのが原因だといいます。1973年740万㎡しかなかった山林が2021年には10億㎡を超過しまし。1973年からはじまり20年間続いた治山緑化事業を通じてたくさんの木が植えられ、一方で伐採が規制されてきたおかげです。しかし遠くから見れば緑の森となっていても、中に入れば枯れた木が多く森は伐採もされずに荒れています。その荒れた森の木々が燃えるのです。そしてシン所長は山火事対策として林道の増加と伐採をあげています。現在のようなヘリコプターによる空からの消火ではなく、林道を通じて消防車のホースで初期に鎮火すべきだと指摘します。一生懸命に育てた人工林を今やきちんと管理することが山火事の防止にもつながるようです。

おすすめのコンテンツ

Close

当サイトは、より良いサービスを提供するためにクッキー(cookie)やその他の技術を使用しています。当サイトの使用を継続した場合、利用者はこのポリシーに同意したものとみなします。 詳しく見る >