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ライフスタイル

村上春樹と韓国の読者

#マル秘社会面 l 2023-07-12

玄海灘に立つ虹

ⓒ YONHAP News
先日、村上春樹の6年ぶりの長編小説『街とその不確かな壁』の版権を韓国では文学(ムンハク)トンネ出版社が得たというニュースがありました。翻訳出版されるのは今年の9月だということです。まだ出版されたわけでもなく、版権を得たというだけでニュースになるほど、多くの出版社がしのぎを削ったものと見られます。今回版権と手にした文学トンネは2009年の『1Q84(いちきゅうはちよん)』から2017年の『騎士団長殺し』そして今回の『街とその不確かな壁』まで村上春樹の最近の長編小説をほとんど手掛けてきた出版社です。出版契約と関連しては「著作権者から今月5日にメールが来て『多数の出版社から受け取った提案を慎重に検討した結果、文学トンネが金額面で一番高額だったわけではないが、多角度から総合的に評価して最終的な判断を下した』と書かれてあった」ということでした。 
村上春樹の作品の版権料に関しては2013年の『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』の版権料が約16億ウォンだったのが、『騎士団長殺し』では20~30億ウォンに高騰したという話もありました。その『騎士団長殺し』の韓国語版は先行予約販売だけで3刷り30万部を突破し、発売から3週間で50万部を突破するという人気でした。村上春樹は韓国では東野圭吾と共に圧倒的な人気を誇っています。全作品が韓国語で翻訳出版されており、特に『ノルウェイの森』は韓国人が一番好きな外国文学作品だと言われています。
若者層にも多くのファンがいることでも知られ、BTSのメンバーRMも村上春樹の大ファンだと言われています。BTSのミニアルバム『 LOVE YOURSELF 承 ‘Her’』(2017)の収録曲『Sea』は、『1Q84』に出てくる「希望のあるところには必ず試練があるものだから」という文章からインスピレーションを得たということです。また村上作品は韓国では映画の原作にもなっています。2018年に公開された『バーニング 劇場版』は短編『納屋を焼く』が原作で、イ・チャンドン監督、ユ・アイン主演で作られました。
また最近韓国人の日本旅行が増えていますが、そんな日本旅行に関するインターネットのブログを見ていると、早稲田大学の国際文学館(村上春樹ライブラリー)に行って来たという内容が多数見られます。ライブラリーの内部の写真などがたくさん掲載されています。その国際文学館では今年5月19日に公開セミナー「村上春樹文学に出会う」が開催され、その初回のゲストとして韓国の作家兼エッセイストのイム・キョンソンさんが招かれて講演しました。彼女は春樹文学の大ファンで、エッセイ『村上春樹のせいで(季節社)』の著者です。彼女はこの日の講演で『韓国の出版界における村上春樹の作品の位置づけや、村上春樹が韓国の読者へどのように受け入れられているのか、そして15歳の時、初めて村上春樹の作品を読んで以来、長年の読者になった個人的きっかけ、村上春樹を絶えず読み続けてきた理由、今や一人の作家、そして同時代を生きていく一人の人間として村上春樹からどのような影響をうけてきたか、韓国で村上春樹好きの作家として活動していくことの意味』などについて語りました。 9月に韓国語で翻訳出版される『街とその不確かな壁』どのくらい売れるか、今から楽しみです。

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