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ライフスタイル

韓国のマンション安全か

#マル秘社会面 l 2023-08-02

玄海灘に立つ虹

ⓒ YONHAP News
ユン・ソンニョル大統領まで乗り出して最近の新築マンションの手抜き工事の問題を指摘し、国土交通部は2017年以降に着工された約300の民間発注マンションに対する全数調査も開始する予定です。そして調査対象となるマンションはほとんどが新築中、あるいは築3年以下の新しいマンションばかりで韓国の大手建設会社が施行したものです。前からいろいろと言われてきたものの、今回の事態の発端となったのは今年4月に仁川の新築マンションで地下駐車場の崩落事故が起きたことでした。この事故では幸い、けが人は出ませんでしたが、マンションの住民は不安です。その後、この事故ではマンションの地下駐車場に必要な鉄筋が入っていない手抜き工事が行われていたことが明らかになりました。
その後、民間マンションだけでなくLH(韓国住宅公社)のマンションでも同じような欠陥が多数みつかり、住宅公社と施行にあたった大手建設会社に非難が集中しています。問題となったマンションはどこもフラットスラブ構造という、2017年からアパート地下駐車場に用いられはじめた建設方法で建てられており、この方法は上部の重さを支える梁がなく、柱がスラブ(コンクリート天井)を直接支える構造です。柱と接する部分に荷重が集中するため、スラブが破壊されるのを防ぐために柱の周りのスラブにせん断補強筋を入れる精密な設計・施工が重要になります。
住宅公社のマンションで鉄筋が不足していた15の団地では、補強筋を用いる区間の誤りをはじめとする「設計不良」が10の団地で、「施工不良」が5つの団地で見つかりました。設計不良の割合が施工不良の2倍に達したことになります。NCSLAB建築士事務所のホン・ソンヨン代表は「フラットスラブ構造に対する理解度が低い建築設計、現場の未熟練の技術人材、不十分な管理監督などが重なって起きた事故です。韓国のアパート施工現場の複合的な問題が水面上に現れたもの」だと指摘しています。
また消費者はこのような不良工事に対して、大手企業の名前をひっかけて新造語まで作り皮肉っています。例えば「ジャイ」のブランド名で今回矢面に立っているGS建設は「スンサル・ジャイ」と呼ばれています。「スンサル」とはフライドチキンの中でも骨の無い肉だけのメニューで、設計図面で書かれていた鉄筋を抜いて施行したためこう呼ばれています。さらに入居後すぐに浸水と水漏れがあったとして大宇建設のブランド PRUGIOは、韓国語の流れるという意味の흐르다(フルダ)をかけて「フルジオ」と呼ばれています。ロッテ建設のブランド「ロッテキャッスル」は鉄筋の塊が外壁から飛び出している写真が掲載されたことから、力や押しの強い人を表わす통뼈(トンピョ)をつけて「トンピョ・キャッスル」と言われています。
こうした事態が相次ぐ理由について、韓国建設産業研究院のイム・ギス研究委員は「マンションは施工会社が30%程度造り、残りを零細下請け業者に出す場合が多い。そのうえ、竣工前の監理が行き届かないのが現実だ。竣工前の瑕疵(かし)は竣工後の瑕疵より重大だ。消費者もしっかり事前点検をすべきだ」とアドバイスしています。住宅公社のイ・ハンジュン社長も「単純に施行会社や設計会社、監理会社の問題だと見ているわけではない。どこか一つの問題ではなく建設業界全体の構造上の問題だ」と指摘しています。韓国は海外で世界的な超高層ビルを施工する「建設大国」です。それがマンション一つまともに建てられないのかという批判の声を受けています。残念ですし、不安です。

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