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ライフスタイル

レンタル電動キックボードと電動自転車

#マル秘社会面 l 2023-11-01

玄海灘に立つ虹

ⓒ Getty Images Bank
韓国では日本と違い、電動キックボードも電動自転車もレンタルで利用する人が多いです。特に電動キックボードのシェアサービスはいくつもの会社が参入しており、街にはシェアサービス会社ごとに色の違う、色とりどりのキックボードがあふれています。低公害、シェア料金も安く、誰でも手軽に使える電動キックボードは、若者を中心に利用者がふえていますが、一方で問題も起きています。地下鉄駅の周辺や道端、アパート団地の中などに乗り捨てられたキックボードがたくさんあります。これはもともとシェアして利用するため、利用者は専用のアプリに登録、お金を払えば自由に使ってから、自由に乗り捨てることができるシステムになっているからです。各キックボードにはGPSがついているので、次の利用者はアプリの地図で位置を確かめて近くにあるキックボードをみつけて乗車することになります。ただバスの停留所や横断歩道から10m以内などは道路交通法でキックボードの駐・停車が禁止されていますが、なかなか守られておらず、シェアサービスの会社ではなく地方自治体がまとめて回収している姿も見かけます。
このような乗り捨ての問題は、レンタル自転車でも同様です。現在ソウル市では「タルンイ」という自転車のレンタルサービスを実施しています。日本のように家に何台も自転車があるという家は少なく、カップルで、親子で、家族でサイクリングに行く時に、このレンタル自転車を利用する人がたくさんいます。その場合、使用後はソウル市内に点在する専用の駐輪場に返却することになっていますが、返却する自転車の数が多すぎて駐輪場に入りきらず道にあふれて歩行者の交通の妨げになっている情景もよく見かけます。
また最近はバスや地下鉄の料金がどんどん値上がりしているため、通勤用の移動手段として電動自転車を購入する人も増えています。韓国スマートイイモバイリティ協会によれば去年の電動自転車販売量は10万7000台で、2018年の2万4000台と比較して4年で4.5倍も増えたことになります。国内の電動自転車メーカー1位の三千里自転車は、去年、2019年に比べて3倍以上売上が増加しました。

ⓒ Getty Images Bank
また2019年には6種類しかなかった都心走行用の電動自転車のモデルが今年は14種類に増えたと言います。今後も電動自転車は環境にやさしい未来型の交通手段として注目をあび、その市場も拡大していくものと予想されます。
ではこのように拡大する自転車市場、問題は無いのでしょうか。自転車ドライバーの暴走が問題になっています。ソウル市民が余暇を楽しむ漢江市民公園のサイクリング道路には時速40㎞で爆走するサイクリング族と、同じ自転車でもソウル市の「タルンイ」のレンタルサービスを利用する家族連れの人々が一緒に走っています。自分の自転車で走っているサイクリング族の人々は服装も本格的でサークルや同好会など団体で走っていき、ゆっくりと走るカップルや家族連れの自転車を追い越していきます。ソウル市は漢江市民公園内のサイクリング道路は時速20㎞以下で走行するよう求めていますが、守っている人はほとんどいません。1台数百万するサイクリング専用の自転車は、ペダルを少し踏むだけで速度はあっという間に時速35㎞以上になると言います。また公園内は散歩する歩行者もいます。歩行者がサイクリング道路を横切ることもあります。そのため、自転車同士の接触事故と共に、歩行者との接触事故も起きています。今年1月から9月まで漢江市民公園内で発生した自転車事故だけで99件に達します。2021年には106件、2022年には107件と事故の数は増えています。
韓国は日本に比べて交通手段、そして娯楽手段としての自転車文化がまだきちんと根付いていないのかもしれません。日本のように通学用、買物用など暮らしに根付いた使い方よりも、スポーツとして、余暇活動として自転車を楽しむ人が多いからです。電動キックボードも、電動自転車も暮らしの中で使用してこそ未来の交通手段になると思うのですが。

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