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ピープル

ソウル敦化門国楽堂の芸術監督、キム・ジョンスン

2016-09-20

ソウルの都心、鐘路区(チョンノク)にある朝鮮時代の王宮、昌徳宮(チャンドックン)。昌徳宮の正門は敦化門(トンファムン)です。最近、この敦化門の向かいに、韓国の伝統屋敷、韓屋(ハノク)が建てられました。立派な造りのこの韓屋は、韓国の伝統音楽、国楽専用の公演場、ソウル敦化門国楽堂です。



国楽のための建物、敦化門国楽堂の門をくぐると、まず韓屋の建物に取り囲まれた芝生の庭が見えます。家の中央に余白を置いた韓屋の特徴がそのまま活かした芝生の庭は、「国楽マダン=国楽の庭」と名づけられ、いつでも国楽の公演を開くことができる空間となっています。敦化門国楽堂の地下2階と3階には韓国の伝統音楽、国楽が演奏される公演場があって、現在、オープン記念公演が開かれています。奏者が床に座って演奏することの多い国楽専用の公演場には、舞台を見下ろせるようにゆるい傾斜をつけた140の客席が設けられています。奏者と観客との距離はわずか2、3メートル。楽器の生の音をそのまま伝えるため、マイクやスピーカーなどの音響システムは使っていません。舞台と客席との距離が近いため、観客は楽器の繊細な震えや響きまで感じることができます。

敦化門国楽堂を率いているのは初代芸術監督に就任したキム・ジョンスンさんです。今年42歳になるキム・ジョンスンさんはソウル大学で横笛の一種、大笒(テグム)の演奏で博士号を取った後、16年間、国立国楽院の大笒奏者として活動していました。その後、韓国芸術総合学校で教鞭を取っていたキム・ジョンスンさんが、9月にオープンしたばかりの敦化門国楽堂を率いる芸術監督を任されたのです。伝統音楽の専門家として、韓国最高の奏者からもその実力を認められているキム・ジョンスンさんが韓国の伝統音楽に興味を持ったきっかけは祖父の影響でした。キム・ジョンスンさんの祖父は音楽家として活動したことはありませんが、風流を好んだため、最高の実力を持つ国楽家が祖父の家を訪れていました。



祖父に似て風流を好み、努力を惜しまない性格だったキム・ジョンスンさんは、最高の大笒(テグム)奏者になりました。キム・ジョンスンさんは国楽の伝統を守りながらも、新しい挑戦を恐れませんでした。韓国でその実力を認められた彼は、クラシック音楽の本場といえるドイツに進出しました。ドイツで演奏活動をはじめたキム・ジョンスンさんは韓国の伝統音楽の音階に適した楽器、大笒の音を西洋音楽の音階に溶け込ませるために悩んだ末、現代的な大笒の演奏技法を見つけ出しました。そして、その演奏技法を活かして、今から18年前、韓国の国楽に西洋のクラシック音楽をアレンジする現代音楽専門演奏チーム「韓国現代音楽アンサンブル」を立ち上げ、国楽の幅を広げています。

キム・ジョンスンさんはより多くの人に国楽に触れてもらうため、国楽の大衆化に努める一方で、国楽の伝統を伝えていくための努力も怠りません。彼は韓国最高の国楽の奏者で構成されている国楽演奏団の最年少団員でもあります。国楽の伝統を守りながらも、新しい試みを恐れないキム・ジョンスンさん。敦化門国楽堂の芸術監督に就任した彼は今も面白いイベントを企画しています。敦化門国楽堂の向かいにある朝鮮時代の王宮、昌徳宮で王宮の宴が開かれていたことに注目した彼は、この10月、「国楽の味」公演を企画しました。宮廷音楽やパンソリなどの公演を見ながら、昔の宴会のように韓国料理とお茶を味わうイベントです。

自分の人生を芸術そのものにしたいと願うキム・ジョンスンさん。そんな彼が率いる敦化門国楽堂のこれからの舞台が多くの人の期待を集めています。

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