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ピープル

パンソリの歌い手、ソリクンのユ・テピョンヤン

2016-10-04

ソウルの中心部にそびえる山、南山(ナムサン)のふもとにある国立劇場の公演場の一つ、ヘオルム劇場では、今、国立唱劇団による「オルフェオ伝」が公演されています。唱劇団の唱劇とは、歌と語りでつづる韓国のパンソリを基本にした歌劇です。ところが、今、国立唱劇団が公演している「オルフェオ伝」は、ギリシア神話のオルフェオの物語をモチーフに、韓国の伝統音楽、国楽だけではなく、西洋音楽のオペラやヒップホップなどを交えて上演しています。国立唱劇団としては初めての試みでした。



国立唱劇団の「オルフェオ伝」は、スケールの大きい舞台、幻想的な照明、ジャンルを越えた音楽など、独特な演出が話題になりました。そしてもう一つ、観客の関心を引いたのは若い出演者の姿でした。その出演者とは、今年24歳になるユ・テピョンヤンさんです。ユ・テピョンヤンさんは子どもの頃、「パンソリの神童」と呼ばれていました。1998年、6歳のユ・テピョンヤンさんは、3時間以上もかかるパンソリ「フンボ歌」を最後まで歌い切り、最年少完唱の記録を塗り替えました。30代になってパンソリの世界に入門したユ・テピョンヤンさんの父親は、国楽に関心を持つ3歳の息子を自分の師匠のところに連れていきました。ユ・テピョンヤンさんが、国楽、パンソリの世界に足を踏み入れた瞬間でした。3年が経ち、6歳になったユ・テピョンヤンさんは3時間以上もかかるパンソリ「フンボ歌」を歌いきったのです。1つのパンソリ作品を最後まで歌いきることを完唱といい、パンソリの名人にも辛い公演です。



「国楽の神童」と呼ばれ、パンソリの世界に浸っていたユ・テピョンヤンさんは、12歳になった年、いきなり南アフリカ共和国への留学を決心しました。国楽界から注目されていた「パンソリの神童」の海外留学、それも南アフリカ共和国への留学の知らせは多くの人を驚かせました。小学生の時にパンソリ公演で訪れたインドで聞いた伝統的な打楽器の音とリズムに惹かれたユ・テピョンヤンさんの希望でした。本当の打楽のリズムを習いたいならアフリカに行けという父親の勧めでアフリカへの留学を決心したのです。

4年間の留学生活を通して、韓国の伝統音楽、国楽と他のジャンルの音楽を融合させたクロスオーバーの可能性を確信したユ・テピョンヤンさんは打楽器だけではなく、ジャズやロックなど、国楽とはまったく違うジャンルの音楽に触れ、習っていきました。いろいろなジャンルの音楽に接することは変声期を迎え、スランプに陥っていたユ・テピョンヤンさんにとって良い刺激になり、パンソリにも深みをもたらしました。

帰国後、パンソリに対するユ・テピョンヤンさんの情熱は高まるばかりで、高校時代にもさまざまなコンクールで優勝、一人前のソリクンとしてその実力を認められていきました。今年、大学を卒業し、国立唱劇団に最年少団員として入団したユ・テピョンヤンさん。「パンソリの神童」と呼ばれたユ・テピョンヤンさんの入団が決まると、多くの人がパンソリを最後まで歌いきるパンソリ完唱の舞台を期待しました。その期待に応えてパンソリ完唱の舞台に上ることになったユ・テピョンヤンさんは6歳の時に歌った「フンボ歌」を選びました。
6歳の「パンソリの神童」ではなく、青年ソリクン「ユ・テピョンヤン」のパンソリを聞いてもらいたいと思ったのです。

若いソリクン、ユ・テピョンヤンさんは国楽の伝統を守る一方で、現在上演されている「オルフェオ伝」を通じて、さまざまなジャンルの音楽とクロスオーバーさせた国楽の変身、その楽しさを伝えていくために努力しています。

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