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ピープル

ピアニスト、ソン・ヨルム

2016-10-11

ソウルから車で1時間半ほどの江原道(カンウォンド)春川市(チュンチョンシ)。その春川市が生まれ故郷の、韓国を代表する短編小説家、金裕貞(キム・ユジョン)の生家を中心に作られている「金裕貞(キム・ユジョン)文学村」の野外公演場で、10月1日、秋、文学、風、そして音楽をテーマにした、ピアニスト、ソン・ヨルムさんのコンサートが開かれました。



1986年生まれ、今年30歳になったソン・ヨルムさん。彼女は江原道原州市(ウォンジュシ)で生まれ育ちました。ソン・ヨルムさんは9月30日から10月2日までの3日間、江原道の3つの都市で小さなコンサート「ソン・ヨルムの分かち合い音楽祭」を開いたのです。「ソン・ヨルムの分かち合い音楽祭」では演奏だけでなく、ソウルのような大都市に比べ、教育の機会が少ない江原道地域の学生たちを対象にしたマスタークラスも行われました。マスタークラスとは、プロの演奏家から直接指導を受けられる公開レッスンのことです。

ソン・ヨルムさんは、5歳の時、母親に勧められて近所のピアノ教室に通いはじめました。音感が良かったソン・ヨルムさんのピアノは見る見るうちに上達していきました。そして、1997年に初めて出場した国際コンクール「若い音楽家のためのチャイコフスキー国際コンクール」で2位に入賞しました。その後、ソン・ヨルムさんは
音楽の才能と可能性を持った学生たちが集まる韓国芸術総合学校の予備学校に入学することができました。芸術総合学校の予備学校は、テストを通して可能性のある学生を選び、韓国芸術総合学校の教授が指導する1年の過程です。毎週土曜日、ソン・ヨルムさんは、この予備学校に通うため原州とソウルを行き来しながらレッスンを受けていましたが、芸術総合学校の教授にピアノを習い、少しずつ上達していくのが楽しくて、苦になりませんでした。11歳でジュニア向けの国際コンクールで入賞し、韓国の音楽界に注目されていたソン・ヨルムさん。その後、アメリカやドイツ、イタリアで開催される国際コンクールで相次いで最年少1位の記録を塗り替えながら優勝しました。その頃からピアニスト、ソン・ヨルムさんの名前の前には最高、最年少という修飾語がつくようになります。

同じ曲を演奏しても、ピアノは誰がどのように演奏するかで全体的な流れやテンポ、曲の解釈に違いが出てきます。子どもの頃から読書が好きだったソン・ヨルムさんは作曲家が言いたいこと、音符に隠された意味を巧みに汲み取る音楽的な解釈に秀でていました。文学的な才能と優れたテクニックを兼ね持ったソン・ヨルムさんは、2011年、世界3大コンクールの一つとされるチャイコフスキー国際コンクールで、韓国人としては初めて2位に入賞しました。チャイコフスキー国際コンクールが終わった後、ソン・ヨルムさんは活動の範囲を広げることにしました。

今年、ソン・ヨルムさんは、平昌(ピョンチャン)・大関嶺(テグァンリョン)音楽祭の副芸術監督に就任し、さらに音楽企画会社も設立しました。彼女が会社を設立した理由は、より多くの人にクラシック音楽を聴いてもらえる環境を作り、文化芸術の社会貢献を実現するためでした。文化芸術の活動やイベントはほとんどがソウルを中心に進められ、一部の地域では接する機会が限られている韓国で、もっと多くの人がクラシック音楽に親しめるような環境を作りたいと思いました。もう一つ、国際舞台で実力を認められても韓国ではなかなか演奏の機会を得ることができない若いアーティストのための舞台も作りたいと考えています。

ソン・ヨルムさんにとって30歳の誕生日を迎えた2016年は、誰よりも忙しい1年でした。ドイツと韓国を行き来しながら、平昌・大関嶺音楽祭の副芸術監督に就任し、企画会社を設立し、演奏とマスタークラスを兼ねた分かち合い音楽祭の準備に至るまで、目まぐるしい毎日でしたが、充実した時間を送ったソン・ヨルムさん。彼女は世界的なピアニストとしての名声より、自分の才能を分かち合う人生を生きていこうと努力しています。

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