韓国の国会では10日に続いて11日も、情報機関・国家情報院に関する法律の改正案に反対する野党によって、長時間にわたる演説を続けて採決を阻止するため、いわゆるフィリバスターによる議事引き延ばし戦術が続いています。
スパイ活動など共産主義活動の捜査を行う対共捜査権を警察に移管する国家情報院法改正案の採決を阻止するためで、最大野党「国民の力」は、「国家情報院の情報資産を活用できなくなり、警察の能力がまだ十分でないため、安全保障の空白が懸念される」と主張しています。
これに対し、与党「共に民主党」は、「捜査を前提とした情報収集は人権侵害の懸念が高く、過去にも多くの事例があった」としています。
フィリバスターを終わらせるには、フィリバスター終結申請を行い、採決で在籍議員の5分の3に当たる180人が賛成すれば可能ですが、与党は終結申請をせず、しばらく様子を見守る方針です。
野党の発言権を尊重し、十分な討論を行ったうえで改正案の採決を行うことで、強行採決との批判をかわす狙いがあるものとみられています。
「国民の力」の新人国会議員58人全員は11日、フィリバスターに参加する方針を決めており、フィリバスターは新年を迎える直前まで続けられる可能性もあるとみられています。
★2020年12月15日修正