海兵隊の兵士の死亡をめぐり、捜査していた軍の担当者に圧力をかけたとして、職権乱用の疑いで捜査を受けている元国防部長官の李鐘燮(イ・ジョンソプ)氏は、今月初めにオーストラリア大使に任命されましたが、任命から25日で辞意を表明しました。
李大使は、去年、国防部の長官だった際、水害における捜索・救出活動にあたった海兵隊員が殉職した件に関して、当局による捜査に介入したとして、出国禁止命令を受けていましたが、今月4日にオーストラリア大使に任命されたあと10日に出国しました。
最大野党「共に民主党」は「容疑者を逃避させた」などと強く非難し、与党「国民の力」も、来月10日の総選挙への影響を懸念し、李大使の辞任を求める声が一部から上がっていました。
李大使は、ソウルでの会議に出席するため、21日に一時帰国していました。
李大使の辞意表明を受けて、外交部は29日、「任命権者である尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領に報告した」と明らかにしました。
海兵隊員の死亡事故をめぐっては、救命胴衣を着用していない隊員に捜索を行わせた責任について、権力者の不正を専門に捜査する独立機関が捜査を行っています。
李大使は、辞意を表明する際、「早期の聴取を要求してきたが、期日がいまだに決まっていない」と指摘したうえで、「捜査に対しては最後まで毅然とした態度で望む」と述べました。
李大使の辞任を受け、オーストラリアにある韓国大使館では、次席大使が代行を務めるものとみられます。