医学部の定員を増やすという政府の方針に反対し、職場を離脱した研修医らは、政府が業務開始命令を出し、病院に戻るよう圧力をかけているのは「強制労働」に当たるとして、ILO=国際労働機関に介入を要請しましたが、これを受けて、ILOが韓国政府に意見を求める書簡を送ったことがわかりました。
研修医らでつくる団体は今月13日に、政府が医師免許を停止するなどとして、病院に戻るよう圧力をかけているのは、ILOが禁じる「強制労働」に当たるとして、ILOに緊急介入を要請する書簡を送りました。
この要請について、ILOは、研修医の団体は、政府の機関や労働団体ではないため、介入を要請する資格がないとして、拒否しました。
これを受け、研修医の団体は、介入を要請する文書に、「自分たちは研修医を代表する唯一の団体である」という説明を加えて、15日に改めて提出しました。
雇用労働部によりますと、ILOは28日、この再要請を受理し、韓国政府に意見を求める書簡を送ったということです。
ILOの基本条約のうち、強制労働の禁止に関する第29号は、あらゆる形態の強制労働を廃止すると宣言する一方で、市民の福祉を危険にさらす可能性がある状況においては、この限りでないとしています。
政府は、研修医らのストライキは、「市民の福祉を危険にさらす可能性がある状況」に当たるため、業務開始命令は強制労働に該当しないという立場です。
雇用労働部は、ILOから意見を求められたことについて、「介入の手続きが始まったわけではない」としたうえで、「医療改革を進めるなかで、韓国政府が、医師らとの対話を行っていることや、ILOの条約を遵守していることなどを、しっかりと説明していく」としています。