尹錫悦（ユン・ソンニョル）大統領は、第22代国会議員総選挙で野党が圧勝したことについて、意思疎通の必要性を強調し、国民の声により耳を傾けていくとの考えを示しました。

尹大統領は今回のコメントで「意思疎通」に何度も言及し強調しましたが、いったん決めた政策は剛腕で推し進める政治姿勢について、国民との対話に欠けるとして批判されてきたことを意識したのではないかという見方が出ています。
 
尹大統領は16日、龍山（ヨンサン）の大統領室で開かれた閣議の冒頭発言で、「就任してからの2年間、国民だけを見ながら国益のための道を歩んできたが、国民の期待に応えられなかった」としたうえで、「より腰を低く柔軟な姿勢で意思疎通し、民意に耳を傾ける」と述べました。
 
総選挙の結果について、尹大統領が正式にコメントしたのは、これが初めてです。
 
尹大統領は、重点課題として掲げている労働、教育、年金の3大改革と医療改革を引き続き推し進めていくと強調しながらも、合理的な意見に対しては耳を傾けていきたいと述べました。
 
また、国会での野党との協力を呼びかけるうえで、国民の生活に関わる予算や法案は、さらなるコミュニケーションが必要だと強調しました。
  
10日に行われた総選挙では、最大野党「共に民主党」が、全300議席のうち、過半数を超える175席を獲得して第1党となりました。この結果、与党「国民の力」は、政権と国会の「ねじれ」解消に失敗しました。
 
任期を半分以上残している尹政権にとって、野党との協力や人事の刷新、コミュニケーションの強化が今後の課題と考えられています。