大統領に当選した最大野党「国民の力」の尹錫悦（ユン・ソンニョル）氏は10日、当選のあいさつで、「これから、国民だけを信じて、国民の意向だけに従う」と述べました。 
尹氏は10日午前11時から国会図書館の講堂で当選のあいさつを行い、「胸いっぱいの思いと、限りない責任感をもって、大統領当選者として国民の前に立った。これから、国民だけを信じて、国民の意向だけに従う」として国民統合に向けたメッセージを発しました。
今回の大統領選挙では1位と2位の得票率の差が0.73ポイントと、1987年に大統領直接選挙制が復活して以来、もっとも小さな差での当選となりました。
それだけ、革新系と保守系が半分に分かれて対立し、地域間、世帯間、男女間の対立も鮮明になりました。
尹氏はこれを意識し、「国民統合や地域対立の課題を解決し、すべての地域がバランスよく発展していくためには、力を合わせなければならない」と国民に呼びかけました。
また韓日関係をめぐっては、「未来志向の韓日関係を築いていく。韓国を国際社会で役割と責任を果たす、尊敬される国にする」と決意を語りました。
また「韓日共同の利益と韓日の未来の世代が志向すべきところは何かに重点を置いて、韓日関係を考えていく」と述べました。
尹氏はテレビ討論会でも、「大統領に当選すれば、韓日関係の改善に乗り出す。アメリカのバイデン大統領に続いて、岸田首相と会談したい」とし、韓日関係改善への意気込みを示しています。
対北韓政策については、「北韓の違法で不合理な行動には原則にもとづいて断固として対処するが、南北対話の扉は常に開いておく」と話しました。
また完全な非核化が実現するまでは、対北韓制裁を維持しなければならないと強調するなど、いまの政権に比べて北韓に対しては強硬な姿勢を取りそうです。
一方、「国民の力」は大統領選挙と同じ日に行われた国会議員の再選挙・補欠選挙で4議席を獲得し、あわせて110議席となったものの、国会の300議席中、依然として「共に民主党」が172議席の過半数を占めているため、ねじれ国会であることに変わりありません。
新たな政策を打ち出しても、立法につながらなければ、意味がないため、「共に民主党」の協力が切に求められています。