「主体思想」は内外の情勢の変化にともなって変化してきた。最初は「人(人民大衆を意味する)がすべてのものの主であり、すべてを決定する」という哲学的原理に基礎した思想だった。つまり人が自主性と創造性、意識性を持って、自分の運命を自主的かつ創造的に開拓していく社会的存在、すなわち歴史の主体だが、無条件に自分の運命を自主的かつ創造的に開拓するのではなく、首領の偉大なる指導を受けてこそ歴史的主体としての役割を果たすことができるとしていた。このため首領の指導こそ主体を確立する核心だと言える。これがいわゆる「革命的首領観」だ。 1986年にはこの「革命的首領観」に「社会政治的生命体論」が加えられた。これは革命の主体は首領であり、党や大衆の統一体で、首領と党、大衆は一つの生命体として運命をともにする社会的政治的生命体だと主張した。こうした論理は「血縁論」に発展し、世襲体制に正統性を与える根拠にもなった。