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第723話 死刑制度についての議論が持ち上がっています

#アジュンマの井戸端会議 l 2023-09-12

玄海灘に立つ虹

ⓒ Getty Images Bank
韓国では死刑自体は維持されていて、実際に判決も行われていますが、執行は猶予されているのが実状です。
1997年、23人が処刑されたのを最後に死刑の執行は途絶えています。それ以降、凶悪な連続殺人事件が起きるたびに死刑の存廃をめぐる議論が行われてきました。いったん、憲法裁判所では、これまでで2度、死刑制度は憲法に合致するという判断を示しています。

凶悪な事件を起こした犯人を厳しく罰しなければならないという意見は少なくありません。処罰が軽すぎるために凶悪な事件が繰り返し起きているのではないか、死刑制度があれば、社会に警鐘を鳴らし、犯罪が抑えられるのではないか、などという指摘です。韓国の聯合ニュースと聯合ニュースTVが9月、全国の18歳以上の男女1000人を対象に共同で行った世論調査では、死刑の執行の再開に「賛成」が74.3%、「反対」が22.6%で、4人中3人が死刑の執行に賛成だと回答していました。

しかし、死刑執行には慎重を期すべきだという意見とともに、仮釈放のない終身刑で死刑に代えることができるのではないかとの声も上がっています。韓国政府と与党も仮釈放のない終身刑制度の導入を支持していますが、野党は慎重な立場を示しています。また、韓国の最高裁判所(大法院)は、死刑制度の廃止を前提に議論すべきだとして、事実上反対の意を表明しています。こうした中、現在憲法裁判所では、死刑制度が憲法の趣旨に合致するかどうかについて、3度目となる判断に向け議論が行われているところです。ここにきて通行人を切りつけるなどの通り魔犯罪が相次いだことから、死刑執行の再開に賛成する意見のほうが増えてきているため、憲法裁判所の今回の判断に注目が集まっています。

実はこうした世論の行方を受けてか、韓国政府でも動きが出ています。法務部が、死刑執行施設の点検を行うよう指示したのです。1997年以降放置されてきたという理由からです。ハン・ドンフン法相は、「法的に死刑が維持されている状況で、法相としてその施設を維持管理すべき任務を果たすという趣旨」だとしていますが、政府がいつでも死刑執行を再開できるというシグナルではないかという見方も出ています。

ただ、韓国は、死刑執行が行われなくなって10年目の2007年、国際人権団体のアムネスティ・インターナショナルによって、事実上の死刑廃止国に分類されています。また、世界的にも死刑を廃止する国が増えている中で、死刑執行を再開させるのは時代の流れに逆行することだとの批判もあります。

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