尹錫悦（ユン・ソンニョル）大統領は24日、国賓訪問するアメリカに向けて出発しました。韓米首脳会談をはじめとした一連の協議で、安全保障と経済分野で実質的な成果が出せるか、注目されます。 
 
現地時間の26日に行われる韓米首脳会談で最優先となる議題は、核の脅威が発生した際にアメリカが核資産を提供する拡大抑止の実効的な強化です。
 
尹大統領は訪米前のロイター通信とのインタビューで、「NATO以上に強力な対応の準備が必要だ」と語っています。
 
NATO＝北大西洋条約機構には、加盟国がアメリカの核兵器を共同運用する仕組みがあり、5か国にアメリカの核兵器が配備されています。
 
韓半島での拡大抑止の強化については、これまで通り核の配備はしないものの、アメリカが実際に核を使用する段階で韓国の意見を反映することなどを拡大抑止の手続きとして明文化することなどが議論される可能性があるとみられています。
 
経済分野では、サプライチェーンと技術開発をめぐる協力が主な議題になるとみられます。
 
アメリカが主導する新たなサプライチェーン構築への参加や、両国の技術協力の強化などについて話し合われるものとみられます。
 
安全保障と経済の両面でアメリカとの協力を強化することが今回の首脳会談の主な狙いになる一方で、中国やロシアからの反発を避けつつ、アメリカによる中国とロシアへの牽制にどう協力するか、巧みなバランス感覚が求められています。
 
アメリカ情報当局が韓国政府内の通信を盗聴したという疑惑についても議論されるとみられますが、その結果が公表される可能性は低いというのが大方の専門家の見方です。
 
尹大統領は、現地時間の29日に帰国の途に就きます。