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6カ国協議
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第6回6カ国協議
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第6回6カ国協議
についての第2次首
席代表会合
核兵器保有国現況
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概要
日時と場所 2005年11月9~11日 北京
各国代表  宋旻淳(ソン・ミンスン) 外交通商部次官補
   金桂冠(キム・ケグァン)外務次官
   ヒル国務省アジア太平洋担当次官補
   武大偉外務次官
   佐々江賢一郎外務省アジア大洋州局長
   アレクセーエフ外務次官
結果
共同声明を履行するための方法について具体的な原則を盛り込んだ議長声明を採択したが、第2セッションの開催日を決めることはできなかった。
議長声明の内容
6カ国は、共同声明の原則と目標を再確認し、共同声明を履行するための具体的 な方法を論議するにあたっての原則を設定した。
しかし、第2セッションの開催時期についてはできるだけ早い期日に開催することに合意するにとどまった。

1. 6カ国は、「ことば対ことば、行動対行動」の原則にもとづいて共同声明を完全に履行していくことを再確認し。韓半島の検証可能な非核化をできるだけ早く実現することが、韓半島と北東アジアの平和と安定に貢献することを確認した。

2. 6カ国は、信頼構築を通じて共同声明を履行し、適切な時期にさまざまな分野での約束を実施して、均衡のとれた利益と協力を通じて結果を達成する用意があることを確認した。

協議の経過

9・19共同声明のあと初めて開かれる協議ということで、共同声明を履行するための具体的方策について論議されることが期待されたが、北韓がアメリカによる金融制裁問題を持ち出し、協議の結果について悲観的な見方が支配的だった。しかし各国が共同声明を履行する方法について積極的に意見を示し、各国の意見を反映して、共同声明を履行するための原則を盛り込んだ議長声明を採択することになった。
各国の提案

中国が作業部会導入を提案。
中国は、第5回6カ国協議の第1セッションのテーマは、「共同声明履行の細則、方法と手続きを設定することだとして、首席代表による全体会合では大筋の案を決め、より細かい部分については実務者レベルの作業部会で決定することを提案した

韓国は共同声明履行措置について目録を示した。
共同声明を履行するための概略的な構想を示し、項目別に各国が取るべき措置を具体的かつ詳細に提示した。
しかし不必要な論議を避けるため履行の時限や順序については言及しなかった。

北韓は核放棄の5段階行程表を提示。
1)核実験保留→2)核技術移転の禁止→3)核兵器追加生産禁止→4)検証を通じた核活動の中止と核放棄→5)核拡散防止条約への復帰、国際原子力機関(IAEA)の安全保障措置の履行。
(5段階行程表について、アメリカのライス国務長官は否定的な見解を表明)

その他
アメリカ、日本、ロシアは履行方法について具体的に言及せず。
主な争点
初歩的水準の信頼措置:寧辺の原子炉の凍結と北韓への金融制裁を解除するこ
することが問題となった。協議が始まる前は、軽水炉の問題が最大の争点となるものと予想されたが、会談が始まると、寧辺の原子炉の凍結と金融制裁の解除といった初歩的水準の信頼を確立するための措置が争点になった。

寧辺原子炉の凍結
この問題については、全体会合よりは南北、韓米、米朝など、主に2国間の接触で交渉が進められた。アメリカは第4回協議で共同声明が採択された後も「寧辺で煙が上がっている」と主張し、共同声明の原則にもとづいて原子炉の運転中止を要求した。アメリカは、北韓が核施設の運転を凍結するのは共同声明履行の前提条件だとして、核施設の凍結が実現しない限り見返り措置もないと強調した。 韓国は北韓に核施設の運転を中止するよう説得し、アメリカに対しては、運転を中止した時点で見返り措置を提供する仲裁案を示した。

対北韓金融制裁解除の問題
アメリカの原子炉運転中止の要求に対して、北韓はアメリカによる金融制裁こそ共同声明の原則に背いていると主張した。北韓はアメリカに対して北韓関連資金の凍結やマカオの銀行バンコデルタアジアに関係したマネーロンダリングなどについて、根拠を示すよう求めた。
アメリカによる対北韓金融制裁
概要
アメリカの財務長官が、北韓の一部の企業が大量破壊兵器を製造するための資金を支援しているとして、アメリカ国内の北韓関連資産を凍結するとともに、マカオの中国系銀行に対しても、北韓のマネーロンダリングの窓口になっているとして、アメリカの金融機関との取り引きを禁止した。

日誌
- 2005年6月29日 米大統領行政命令で、北韓の3企業を大量破壊兵器支援企業に指定。
- 2005年9月16日 マカオの中国系銀行「バンコデルタアジア」が北韓のにせドル札の流通と麻薬関連資金をマネーロンダリングする窓口になっていたとして、アメリカの金融機関との取り引きを禁止。
- 2005年10月21日 大量破壊兵器支援の疑いで北韓の8企業のアメリカ国内の資産を凍結。

争点
△ 北韓のにせドル札製造と流通の真偽。
△ 北韓政府の介入。
北韓はアメリカのこうした措置は共同声明の原則に背くものだとして、明確な根拠を示すよう要求した。

意味
具体的な履行方法についての論議を始める前の力比べ。
- アメリカ:北韓の要求は第5回6カ国協議の第2セッションをひかえて、より有利な立場に立って交渉を進めるための戦略だと分析。
- 北韓:共同声明履行と関連した交渉で有利な立場を占めるためにも、また、何よりも重要な外貨の獲得源を遮断されたことによってぶつかる困難を避けるためにも後に引けない立場。
評価
アメリカと北韓の信頼構築が、共同声明の履行、進んでは核問題を解決するための最優先の課題であることが克明になった。履行方法については論議を始めることさえできなかった。ただ、協議期間中にアジア太平洋経済協力会議(APEC)が開催されることから、第1セッションについては、もともと大きな期待はされず、議長声明を通じて共同声明の原則を再確認することに意義があったと言える。

共同声明履行案についての各国の立場を確認。
履行方法に関する具体的は論議には至らず、各国の立場を確認する線で終わる。

議長声明
多少は進展したと評価できる。共同声明の原則と内容を再確認し、米朝間の不信感が協議の最大の障害だという事実を認識して、「信頼構築の重要性」を強調した。 共同声明のすべての項目について実践する意思を強調したのは、共同声明のそれぞれの項目についての論議が進められる基礎を作ったことになる。
また、「均衡の取れた利益」、「ともに覇者になること」を強調し、共同声明を履行する過程で関係国が得る利益が等しくあるべきだということを確認した。

米朝歩み寄りの可能性
アメリカと北韓は厳しく対立したが、交渉を通じて隔たりを埋めるための努力も続けられた。
北韓は全体会合で核を放棄する意志を再確認し、アメリカは北韓との2国間交渉で米朝連絡事務所を開設するほか、見返り措置を提供する用意があることを北韓に伝えた。

次回協議の日程
できるだけ早い時期に開催するとして、具体的な期日は決められなかった。
次回の日程を決めることができなかったのは残念だが、意見を折衝するための時間を確保できたという意味では肯定的な側面もある。
展望と課題
初期の信頼構築
米朝間の信頼関係がどれだけ前に進むがカギだ。北韓が寧辺の原子炉の運転を中止し、アメリカが初期段階の措置の見返り措置を提供することで合意するのが最優先の課題となるだろう。しかし、それは共同声明を履行するための具体的な方法についての論議が進められる前提となるので、双方ともに簡単には譲歩しないとみられる。

時期と順序
第1セッションでは、各国が共同声明を履行するための措置についての意見を披露し、第2セッションではそれらの措置をどのような順序で実行に移していくかについて論議が進められる予定。しかし、米朝間の隔たりは大きく、金融制裁やにせドル札問題、人権問題などでアメリカがどのような態度で協議に臨むかによって結果は大きく違ってくるものと予想される。

北韓への金融制裁と6カ国協議の連携
北韓が第2セッションで最大の成果を収めるために、北韓に対する金融制裁の解除と6カ国協議への参加を連携させる場合、協議再開そのものが遅れる可能性もある。 アメリカは、マネーロンダリング、大量破壊兵器問題、にせドル札問題などで強硬な立場を堅持しており、妥協点を見出すのは簡単ではないとみられる。

休会期間の活用
関係各国は休会期間を活用して活発に2国間協議を行い、共同声明を履行するための方法についてそれぞれの立場を具体化するなど、他の当事国との意見を調整する必要がある。なかでもアメリカと北韓は、2国間協議を通じて意見の相違を調整する努力が必要で、韓国はその仲裁者の役割を果たす必要がある。