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6カ国協議
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第6回6カ国協議
についての第2次首
席代表会合
核兵器保有国現況
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概要
日時と場所 2007年2月8日~13日 北京
各国代表  千英宇 (チョン・ヨンウ)
外交通商部韓半島平和交渉本部長
   金桂冠(キム・ケグァン) 外務次官
   ヒル国務省アジア太平洋担当次官補
   武大偉外務次官
   佐々江賢一郎外務省アジア大洋州局長
  ロシュコフ外務次官
結果
北韓の核放棄に向けた初期段階の措置と、北韓を除く5カ国の見返り措置を具体的に明記した合意文を採択。
合意事項
北韓の初期段階の措置

· 寧辺の核施設の閉鎖とIAEA要員の復帰。
· すべての核計画のリストについて協議。
· すべての核計画の申告。
· 現存するすべての核施設の無能力化。

5カ国の見返り措置

· 国交正常化に向けた米朝間の対話開始。
· アメリカの北韓に対するテロ支援国指定解除に向けた作業開始。
· 関係正常化のための日朝間の対話開始。
· 北韓に対する経済・エネルギー支援。
· まずは重油5万トンを提供。
· 核施設無能力化措置を履行すれば重油95万トン相当のエネルギー支援。

5分野の作業部会設置

· 韓半島の非核化
· 米朝関係正常化
· 日朝関係正常化
· 経済とエネルギー協力
· 北東アジアの平和・安全保障体制 (30日以内に作業部会の最初の会議を開く。)
 
閣僚級会談

· 9.19共同声明の履行を確認し、北東アジアの安全保障協力について話し合うため閣僚級会談を速やかに開催。
· 適切な別途のフォーラムで韓半島の恒久的な平和体制について協議。
 
次回協議

· 2007年3月19日に開催。
<第5回6カ国協議(第3セッション)合意文全文 >

I. 参加国は2005年9月19日の共同声明を履行するため、初期段階に各国が取るべき措置について真しに生産的な協議を行った。
参加国は韓半島の非核化をできるだけ早く平和的に達成するための共同の目的と意志を確認し、共同声明の約束を誠実に履行していくことを再確認した。
参加国は「行動対行動」の原則にもとづいて段階的に共同声明を履行するための調整された措置を取ることで合意した。

II.参加国は初期段階に次のような措置を並行して取っていくことで合意した。
朝鮮民主主義人民共和国は究極的な放棄を目的に再処理施設を含む寧辺の核施設を閉鎖・封印し、IAEAとの合意にしたがって必要な監視と検証活動を遂行するためのIAEA要員を復帰させる。
朝鮮民主主義人民共和国は、9.19共同声明で放棄することにしている使用済み燃料棒から抽出されたプルトニウムを含む、声明に明記されたすべての核計画のリストを作成するために他の参加国と協議する。
朝鮮民主主義人民共和国とアメリカ合衆国は2国間の懸案を解決し、外交関係を樹立するための対話を開始する。アメリカは朝鮮民主主義人民共和国をテロ支援国指定から解除するための作業を開始し、朝鮮民主主義人民共和国に対する敵性国貿易法の適用を終了させるための過程をスタートさせる。
朝鮮民主主義人民共和国と日本は、不幸な過去と未解決の関心事を解決し、平壌宣言にもとづいて関係正常化に向けた2国間対話を開始する。
参加国は9.19共同声明の第1条と第3条を想起し、朝鮮民主主義人民共和国に対する経済・エネルギー・人道支援について協力することで合意した。

これと関連して参加国は、初期段階に朝鮮民主主義人民共和国に対して緊急エネルギー支援を提供することで合意した。
重油5万トン相当の緊急エネルギー支援の最初の運送は60日以内に開始する。
参加国は上記の初期段階の措置を今後60日以内に履行し、こうした目標に向けて相互調整された措置を取ることで合意した。

III. 参加国は初期段階の措置を履行し、共同声明の完全な履行を目標に次のような作業部会を設置することで合意した。
韓半島の非核化
米朝関係正常化
日朝関係正常化
経済とエネルギー協力
北東アジアの平和・安全保障体制構築

それぞれの作業部会は、9.19共同声明の履行のために具体的な計画を協議する。
作業部会はそれぞれの進展に関して6カ国協議首席代表会合に報告する。
原則的に一つの作業部会の進展は他の作業部会の進展に影響を及ぼさない。
5つの作業部会で作られた計画は相互調整された方法で全体的に履行する。

参加国はすべての作業部会の会議を今後30日以内に開始することで合意した。

Ⅳ. 初期段階の措置の期間と朝鮮民主主義人民共和国のすべての核計画についての完全な申告と黒鉛減速炉と再処理施設を含むすべての現存する核施設の無能力化を進める期間中、朝鮮民主主義人民共和国に対して最初の供給分5万トンを含む重油100万トンを提供する。
上記の支援に対する細部事項は、経済とエネルギー協力の作業部会の協議と適切な評価を通じて決定する。

Ⅴ. 初期段階の措置が履行され次第、6カ国は9.19共同声明の履行を確認し、北東アジアの安全保障協力の促進について話し合うための閣僚級会談を速やかに開催する。

VI. 参加国は相互信頼を増進させるための肯定的な措置を取り、北東アジアの持続的な平和と安定のための共同の努力を進めることを再確認した。
直接関連当事国は別途のフォーラムで韓半島の恒久的平和体制に関する協議を進める。

Ⅶ. 参加国は作業部会の報告を聴取し、次の段階の行動についての協議を進めるため第6回6カ国協議を2007年3月19日に開催することで合意した。
対北支援資源負担の分担に関する合意議事録
中国、アメリカ、ロシア、韓国は、各国政府の決定にしたがって第2条5項と第4条に規定された朝鮮民主主義人民共和国に対して提供する資源を平等と均衡の原則にもとづいて分担することで合意し、日本については自国の憂慮事項が取り扱われ次第、同一の原則にもとづいて参加すること期待する。 この過程で国際社会の参加を歓迎する。
会談の結果
良好な出発
第5回第3セッションの協議は、アメリカと北韓が協議の前にベルリンで2国間協議を行い、具体的な意見の接近が実現した状況で開催され、進展に対する期待が大きかった。 中国がまとめた草案を各国が回覧し、一部の文案さえ修正すれば、協議は一挙に妥結するものとみられていた。

エネルギーという暗礁
しかし、協議はエネルギー支援問題という暗礁にぶつかった。
エネルギー支援は見返り措置の核心だったが、提供するエネルギーの量に関して北韓と他の5カ国の意見に大きな隔たりがあった。
結局、北韓が要求量を減らし、他の参加国は供給量を増やして、双方が歩み寄った。

土壇場の妥結
12日は具体的な数字をめぐって各国代表間の接触が活発に行われた。
米朝間の接触や日朝間の接触を通じて隔たりを相当部分埋めることができた。
3回目の米朝間の接触は夜中の0時を超えてまで続けられ、結局午前3時に妥結した。
主要争点と結果
重油の量
北韓は前回の協議ではバンコデルタアジアの北韓関連口座の凍結解除に力を注いだが、今回はエネルギー問題に執着した。
バンコデルタアジアの北韓関連口座の凍結解除がある程度進展していたので、今度は深刻なエネルギー不足の対策をとることに力を入れたものとみえる。
核実験まで強行した北韓としては、協議を進めていく過程で、できるだけ多くのものを得たかったはずだ。
北韓が最初に200万トンの重油を要求し、残る5カ国は50万トンを提供するとしていたが、結局は100万トンで妥結した。

初期段階の措置
初期段階の履行措置については、米朝間の2国間対話を通じて大筋の方向が決まった状態で協議が始まった。
そのためこの問題は核心争点であったにもかかわらず、協議は見返り措置、中でも重油の供給量について集中し、初期段階の措置は大きな争点にならないものとみられた。すでにある程度の共感帯が形成されていたからだ。ジュネーブ合意と違う点は、核施設の凍結とエネルギー支援を交換したのではなく、凍結の一段階上のレベルである閉鎖(shut down)、そしてさらに上の段階の無能力化(disabling)、さらに核放棄という段階に分けて、段階別により具体的な見返り措置を決めたことだ。

核放棄の段階

区分 特徴
凍結
核施設のスイッチを下ろし、封印する程度。
封印を除去して、スイッチを入れればいつでも再び稼動できる。
この段階から核放棄までは5~6年がかかる。
閉鎖
封印した核施設の維持管理、修理なども禁止する。
再稼動するには相当な時間と労力が必要。
数カ月以内に核放棄の段階に入れる状態。
無能力化
核施設を永久に閉鎖し、核心装置である炉心を除去するなど、原子炉を廃棄する技術的な措置を取る。
再稼動するには原子炉を再び建設しなければならない。
放棄
核施設を完全になくしてしまうこと。
6カ国協議の究極的目標だが、核施設と核兵器を区分することになれば問題は複雑になる。
エネルギー支援費用の均等配分
北韓に対するエネルギー支援の財源をどうするかについての問題。
これは北韓を除く5カ国の問題で、この問題が解決されなければ、これまでの成果が水の泡になりかねないだけに重要な争点となった。
アメリカと日本は協議が始まる前からこの問題について口を堅く閉ざしていた。
韓国が中心となって費用を負担することを期待していたものとみられる。

しかし、韓国はこの問題について費用の均等配分を主張し、韓国の主張が通った。

費用負担についての各国の立場

立場
アメリカ
消極的
中国
積極的
日本
難色(日本人拉致問題を連携。拉致問題解決しなければ北韓に対する支援もない。)
ロシア
難色(北韓がロシアに対する債務を返済していないので、国際法上支援は不可。)
韓国
均等配分
評価
初めて具体的な履行に合意
北韓の核問題が表面化して以来、初めて具体的な履行について合意したのは最大の成果だ。これまでの6カ国協議は原則について論議するのにとどまっていたが、今回の合意は北韓の核放棄に向けた実質的な措置を具体的に明記したのが特徴だ。
もちろん初期段階の措置を履行しながら、次の段階の措置について継続して協議していかなければならないが、いったんは韓半島の非核化に向けて出発したということに大きな意義がある。

マルチトラック
5つの作業部会を作って各種の懸案を分離して協議していくことにしたのもいい兆候だ。合意文は、「一つの作業部会の進展が他の作業部会の進展に影響を及ぼさない」と定め、それぞれの懸案を別々に協議していく道を開いた。
つまり、ある一つの懸案が問題になっても、協議全体が中断されることはなくなった。

政治的配慮
閣僚級会談の開催を明記することで、高官級会談の可能性を生み出した。
閣僚級会談が開催されれば、次官級の協議より多くの成果を収める可能性がある。
そうなれば6カ国協議は北韓の核問題だけでなく、北東アジア全体の新しい秩序を論議する場に発展するだろう。

韓半島の恒久的平和体制について話し合うための別途のフォーラム
核問題と連携されているが、それ自体が複雑な懸案である韓半島の平和体制構築に関して論議する契機を作った。
フォーラムでは、ブッシュ大統領が言及した韓国戦争の終戦宣言などの問題について話し合うことができるだろう。
核問題の解決の進度に合わせて、韓半島の平和体制構築についても話し合いが進められればより効果的なはずだ。
展望と課題
初期段階の措置の履行
北韓との交渉では実際に合意が履行されるかどうかが大きな関心事になる。
履行しなければ合意はただの紙くずに過ぎない。今回は初期段階の措置の履行と見返り措置が緊密に連携されているので、北韓が合意を履行する可能性が高い。
しかし、これまでにもそうだったように実務レベルでどんなことが起きるか分からないので速断はできない。

小さく分離して交渉
北韓は核放棄に至る全ての過程を小さく分離して交渉を進める戦略を使っている。
段階を細分化することによって、見返りを最大限に引き出すためだ。
北韓が考えている核放棄に至る段階と、残る5カ国が考えている核放棄に至る段階は今のところ必ずしも一致しているとは言えない。それを一致させるのが今後の課題だ。

核施設と核兵器の分離
核放棄に至る段階を細分化するのと同じ理屈だ。
北韓は数々の難関を乗り越えて核兵器を開発した。
それだけに核兵器を(もし保有しているのなら)放棄するのは難しいことだ。
そこで北韓は核施設と核兵器を分離して交渉に臨むはずだ。
核兵器の問題は協議の最終的な段階で取り上げられることになり、そこでは核施設の放棄とは比較できないほどの見返りを要求するだろう。

遠い非核化への道
そのため究極的な目標である韓半島の非核化は至難の業と言える。
核施設の閉鎖、無能力化に至る過程も決して簡単ではない。次いで核施設の廃棄、そして核兵器の問題まで解決するためには克服しなければならない課題が多い。それぞれの段階で北韓は見返りを要求し駆け引きが続くはずだし、北韓の内部事情の変化など、予期できない要因もあるはずだ。
また北東アジアで新たな秩序が作られる過程で、各国の主導権権争いも予想される。

南北関係
今回の合意で南北関係の障害物はいったん片付けられた。
食糧と肥料を支援する道が開け、閣僚級会談など対話のルートも復元することができるようになった。核問題の解決という前提条件が解決されれば、南北首脳会談を推進することも可能だ。

米朝・日朝関係正常化
米朝関係は、テロ支援国指定の解除、経済制裁解除など、具体的な結果を出すことができる準備が整った。北韓が希望していたように2国間の対話が可能になり、北韓が初期段階の措置を履行することによって米朝関係が改善される道が開けた。しかし日朝関係は拉致問題が障害物として残っている。北韓はエネルギーの支援などを得ることができたので、この問題について柔軟に対応する可能性もある。
しかし、実際にこの問題がどれだけ進展があるかはまだ不確実な状況だ。

3月19日の次回協議
1カ月間の履行実績を点検する場になるだろう。
新しい障害物が出てくるとすれば、次回協議が始まる前に表面化するだろう。
ということは次回協議が始まれば、大きな障害物はないということだ。

今回の合意文で抜けたもの
閉鎖と無能力化の対象は寧辺の5000キロワット(5メガワット)の原子炉だけだ。建設が中断されている泰川の20万キロワット(200メガワット)の原子炉は対象になっていない。抽出されたプルトニウムを含む「すべての核計画のリストについて協議する」というあいまいな表現を使っているのも問題だ。核心問題の一つである高濃縮ウランについては言及していない。こうした問題は非核化の過程でいつでも問題となりえることだ。