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第6回6カ国協議
についての第2次首
席代表会合
核兵器保有国現況
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概要
日時と場所 2008年7月10日~12日 北京
各国代表  金塾外交通商部韓半島平和交渉本部長
   金桂冠外務次官
   クリストファー・ヒル国務次官補
   武大偉外務次官
   齋木昭隆外務省アジア大洋州局長
   アレクセイ・ボロダフキン外務次官
中国の武大偉外務次官、朝鮮民主主義人民共和国の金桂冠外務次官、日本の齋木昭隆外務省アジア大洋州局長 大韓民国の金塾外交通商部韓半島平和交渉本部長、ロシアのアレクセイ・ボロダフキン外務次官とアメリカのクリストファー・ヒル国務次官補が首席代表として出席した。
結果

核施設無能力化と経済・エネルギー支援を10月末までに完了することや、検証システムの構築など、具体的な行程表に合意した。検証システムの構築をめぐって、首席代表らは現場訪問と文書の検討、科学者の面談の3原則に合意した。また、適切な時期に6カ国の首席代表が参加する監視体制を構築することにした。参加国は適切な時期に6カ国閣僚級会談と北東アジア安保フォーラムを開催することにした。6カ国協議の議長である中国の武大偉外務次官は12日、会合を終えるにあたって、こうした内容を盛り込んだ報道発表文を発表する。報道発表文は序文と6項目からなっている。

合意事項
検証と検証システム構築

· 6カ国の専門家グループで検証システムの構築。
· 核施設訪問、文書の検討、科学者との面談という検証のための3原則に合意。
· 6カ国首席代表による監視体制の構築。
経済・エネルギー支援の履行

· 5カ国は2008年10月末までに重油と非重油の支援を完了するために努力する。
· 北韓は2008年10月末までに核施設の無能力化を完了するために努力する。
その他

· 北東アジアの平和安全保障体制について継続して論議する。
· 6カ国閣僚級会談を開催する。
· 6カ国協議を包括的な方法で進展させる。
<報道発表文全文>

第6回6カ国協議首席代表会合についての報道発表文
北京 2008年7月12日
第6回6カ国協議についての首席代表会合が北京で、中華人民共和国、朝鮮民主主義人民共和国、日本、大韓民国、ロシア連邦、アメリカ合衆国が参加して、2008年7月10日から12日まで開催された。

中国の武大偉外務次官、朝鮮民主主義人民共和国の金桂冠外務次官、日本の佐々江賢一郎外務省アジア大洋州局長 大韓民国の金塾大韓民国外交通商部朝鮮半島平和交渉本部長、ロシアのアレクセイ・ボロダフキン外務次官とアメリカのクリストファー・ヒル国務次官補が首席代表として出席した。

武大偉外務次官が議長を務めた。

参加国は9・19共同声明を履行するための第2段階措置で成し遂げた進展を高く評価し、北東アジア地域の平和と安定に寄与するという点で意見が一致した。参加国は第2段階措置の全面的かつ均衡的な履行に関して重要な合意に達した。

Ⅰ. 2005年9月19日の6カ国協議共同声明にもとづいて、6カ国は6カ国協議の枠組みの中で韓半島の非核化を検証するための検証システムを構築することに合意した。
検証システムは、6カ国の専門家グループで構成され、韓半島の非核化に関する作業部会に対して責任を負う。
検証システムの検証措置は、核施設の訪問、文書の検討、科学者との面談、6カ国が全会一致で合意したその他の措置を含む。
必要な場合、検証システムはIAEA=国際原子力機関が検証について諮問に応じ支援を提供することを歓迎する。
検証の具体的な履行は、全会一致の原則にもとづいて、韓半島非核化に関する作業部会で決定する。

Ⅱ. 6カ国は、6カ国協議の枠組みの中で監視体制を樹立することで合意した。
監視体制は6カ国協議の首席代表で構成する。
監視体制の任務は、核拡散防止と朝鮮民主主義人民共和国への経済・エネルギー支援を含む、6カ国協議で合意された合意を、それぞれの参加国が順守し履行することを保証するものである。
監視体制は6カ国が有効だと認める方法で責任を遂行する。
6カ国協議の首席代表は。適切な当事国がその責任を遂行するよう権限を与えることができる。

Ⅲ. 参加国は寧辺の核施設の無能力化とともに、経済・エネルギー支援のための計画を作成した。 朝鮮民主主義人民共和国の寧辺の核施設の無能力化と、その他の国による朝鮮民主主義人民共和国への重油と非重油の残余分の提供は並行して完全に履行する。 すべての参加国は2008年10月までに重油と非重油の支援を完了するために努力する。 アメリカ合衆国とロシアは、2008年10月までに朝鮮民主主義人民共和国に対して、それぞれ重油と非重油残余分の提供を完了するために努力する。
中華人民共和国と大韓民国は、2008年8月までに、それぞれの非重油残余分を支援するために、拘束力がある合意文に署名するために努力する。
日本は条件が整い次第、できるだけ早い時期に朝鮮民主主義人民共和国への経済・エネルギー支援に参加するという意思を表明した。
朝鮮民主主義人民共和国は、2008年10月末までに、寧辺の核施設の無能力化を完了するために努力する。

Ⅳ. 参加国は「北東アジア平和・安保体制」について継続して論議することに合意した。

Ⅴ. 参加国は適切な時期に北京で6カ国閣僚級会談を開催することを再確認した。

Ⅵ. 参加国は9・19共同声明を履行するための第3段階の措置について初歩的な意見交換をした。
参加国は6カ国協議の過程を包括的な方法で継続して進展させ、北東アジアの恒久的な平和と安定のために共同で努力することにした。
協議の経過
首席代表会合の背景
6カ国協議の首席代表が集まったのは、2007年の第6回6カ国協議第2セッションで、10・3合意を成し遂げたにもかかわらず、合意の履行が遅れ、6カ国協議と韓半島の非核化のプロセスがこう着状態に陥ったためだ。

10・3合意は、2007年末までに北韓の核施設の無能力化と核計画の申告を完了することにし、北韓に対する重油と経済支援などの見返り措置も同時に進めていくことにした。しかし、核計画の申告が障害となった。過去の核活動を「完全かつ正確」に糾明できる申告でなければならないというアメリカの要求に、北韓は反発した。 問題は、濃縮ウランだった。アメリカは濃縮ウランを申告内容に含めるべきだとし、北韓は濃縮ウランは存在せず、存在しないものを申告することはできないとした。核計画申告の内容、そして申告内容の検証をめぐって米朝の対立が続き、その結果、協議の再開が遅れたが、結局は米朝が一定部分で妥結、首席代表会合が再び開かれることになった。

米朝シンガポール合意
核計画申告問題を解決するため、アメリカと北韓は2008年4月にシンガポールで協議を行い、妥協点を見出した。濃縮ウラン問題、核拡散問題、プルトニウム問題を、それぞれ分離して扱うことにしたのだ。こうした合意にもとづいて、北韓は2008年6月に、過去の核活動を盛り込んだ申告書を議長国の中国に提出した。

検証問題
申告書は提出されたが、今度は申告内容の検証が問題になった。アメリカと韓国は「徹底した検証」を要求した。北韓が反発したのは、△事前に予告することなく現場を訪問してサンプルを採取すること、
△ 事前に予告することなく現場を訪問してサンプルを採取すること、
△ 北韓の科学者との面談を保証することなどの部分だった。
これらの争点について米朝間で駆け引きが続いた。

首席代表会合と2国間調整
首席代表会合や米朝2国間の協議を通じてある程度の合意を成し遂げた上で、6カ国協議が再開された。協議が始まる前の8日と9日の2日間、アメリカと北韓は2国間協議を通じて活発に意見を交換した。協議が始まる前に、北韓は、テロ支援国指定解除措置が発効(8月11日)する前に、検証システムを構築し、検証作業がスタートする必要があるというアメリカの要求を受け入れた。

報道発表文の採択
核心となる争点について意見を調整し合意に達した。検証の方法として、核施設の訪問、関連文書の検討、科学者との面談という3原則に合意し、合意が難しい部分については、「6カ国が全会一致で合意したその他の措置」によって解決していくことにした。議長国の中国は12日、こうした内容を盛り込んだ報道発表文を発表した。
主な争点と結果
核心課題である「検証」に焦点を合わせて協議が進められた。検証の具体的な方法について合意に達し、これにもとづいて北韓の核施設の無能力化と北韓への支援の行程表が決まった。

核計画申告内容の検証
検証は、6カ国の専門家グループが担当し、核関連施設の訪問、文書の検討、科学者との面談などの原則にもとづいて行うことにした。また、その他の検証関連の問題は、「6カ国が全会一致で合意したその他の措置」で解決していくことにした。「IAEA=国際原子力機関が検証について諮問に応じ支援を提供することを歓迎する」という表現を盛り込み、IAEAが検証に関わる道を開いた。

履行事項の行程表
北韓の核施設の無能力化と北韓への経済・エネルギー支援を、それぞれ2008年10月末までに完了することに合意した。北韓に対する支援を拒んでいる日本は、「条件が整い次第」という条件付きで支援に参加する意思を表明した。
評価

最大の障害だった検証問題について突破口を見出したのは重要な成果だと言える。これで6カ国協議と韓半島非核化の過程が再び正常な軌道に乗った。しかし、検証については、隔たりを埋めることができなかった敏感な部分について留保するような文章で表現し、今後、問題になる可能性を残した。たとえば、検証のための機器の持ち込み、現場を訪問する際の事前通告の期間など、隔たりを埋めることができなかった部分は、「6カ国が全会一致で合意する他の措置」で解決していくといった、あいまいな表現にとどまり、検証を行う過程で問題になることが予想される。
万一、「その他の措置」で意見が対立する場合、「検証」という基礎のうえで成り立つ核施設の無能力化や北韓への支援は暗礁にぶつかる可能性がある。