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テロ支援国再指定

今週のキーワード2017-11-26
テロ支援国再指定

アメリカのトランプ大統領は20日、ホワイトハウスで行われた閣議で、北韓をテロ支援国家に再指定したと発表しました。
トランプ大統領は、「北韓は核兵器で世界を脅かしているだけでなく、国外での暗殺を含む国際テロ活動を繰り返して支援してきた」と述べ、北韓を強く非難しました。
また、「北韓と関係者に対してさらなる制裁と罰則を課し、殺人政権を孤立させるために最大限の圧力をかけることになる」と述べ、北韓に対して圧力を強めていく姿勢を強調しました。
「国外での暗殺」は、北韓の金正恩労働党委員長の異母兄、金正男氏がことし2月にマレーシアで暗殺された事件を指すものと見られます。
アメリカ政府は1988年に初めて北韓をテロ支援国家に指定しました。
2008年に当時のブッシュ政権が指定を解除し、9年ぶりに再指定したものです。
アメリカ議会では北韓をテロ支援国家に再指定するよう求める法案を可決していて、トランプ政権に再指定を促していました。
ということもあって、アメリカ議会では共和党を中心に今回の決定を歓迎する声が相次いでいます。
一方、アメリカ財務省は21日、北韓と巨額の取引をしてきたとして中国人実業家1人と企業4社、北韓の政府機関と企業の合わせて9団体を新たに制裁の対象に指定しました。
新たに制裁対象に指定された中国人実業家は、過去数年間、2800万ドル相当の無線航法補助装置や原子炉関連物資などの北韓への輸出に関わったとされています。
新たな制裁の対象には北韓船籍の船舶20隻も含まれ、北韓の貿易を封じ込めることに重点が置かれたとする見方もあります。
アメリカは国際的なテロを繰り返して支援している国を「テロ支援国家」と定めています。
テロ支援国家に指定されるとアメリカ政府による各種の禁輸措置が取られます。
具体的には、アメリカからの武器関連の輸出や販売が禁止されるほか、軍事力やテロの支援能力を向上させる可能性があるモノやサービスの輸出や提供が制限されます。
ただ、アメリカはすでに北韓に対して独自の制裁を科していて、テロ支援国家再指定の効果は大きくないものと見られます。
再指定は象徴的な意味合いが強く、北韓の核開発計画の放棄に向けて、交渉の場に北韓を引き戻すための政治的な理由が大きいと分析されています。
一方、テロ支援国家に再指定されたことで、北韓は強く反発しています。
北韓の朝鮮アジア太平洋平和委員会は22日、報道官声明を出し、トランプ大統領によるテロ支援国家再指定決定を「暴挙」と非難し、「高い代価を払うことになる」と警告しました。具体的な対応措置については触れていませんが、北韓が60日以上にわたって自粛してきた核実験やミサイル発射実験などの挑発行為を再開する可能性が指摘されています。

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