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軍事的挑発続ける北韓

今週のキーワード2022-10-08

ⓒYONHAP News

北韓は弾道ミサイルを相次いで発射するなど軍事的挑発を強め、緊張を高めています。

北韓は6日午前6時過ぎ、平壌の三石(サムソク)から東方向に弾道ミサイル2発を発射しました。

1発目は最高高度100キロ、速度およそ350キロで、2発目は最高高度50キロ、速度800キロほどで飛行して、韓半島東の海、東海に落下しました。

韓国軍によると、いずれも短距離弾道ミサイルだったということです。

6日午後2時頃には、北韓の爆撃機4機と戦闘機8機が休戦ライン付近の上空を編隊飛行しました。

空対地ミサイルの射撃訓練も実施したと推定されています。

爆撃機と戦闘機は韓国軍が設定している「特別監視線」より南側を飛行し、韓国軍の戦闘機およそ30機が緊急発進し、警戒態勢をとりました。

北韓軍の戦闘機は、休戦ライン付近から離陸した場合、5分以内に韓国の首都圏に到達することから、韓国軍は攻撃に備えて休戦ラインの北側20~30キロの上空に「特別監視線」を設定しています。

これに先立って、北韓は4日には日本上空を通過する中距離弾道ミサイルを発射しました。

「火星12」と推定されるこのミサイルは青森県上空を通過し、太平洋に落下しました。

飛行距離はおよそ4600キロで、これまで発射した弾道ミサイルの中では最も飛行距離が長かったと推定されています。


北韓はこの弾道ミサイルを発射することで、韓国や日本の米軍基地だけでなくグアムまで攻撃できる能力を誇示する狙いがあったとみられます。

これを受けて、韓米両軍はF-15K及びF-16戦闘機を投入、 統合直接攻撃弾JDAM(ジェイダム )の投下訓練を実施しました。

JDAMはGPS受信機が組み込まれていて、外部からの誘導なしで高い精度で設定された座標へ着弾することから、北韓が最も恐れている兵器の一つです。

北韓はことしに入って弾道ミサイルを22回発射し、巡航ミサイルも2回発射しています。

9月25日以降だけを見ますと、6回にわたって、合わせて10発の弾道ミサイルを発射しました。

北韓がこれまでにない頻度で弾道ミサイルを発射しているのは、韓米両軍がこの夏に4年ぶりに大規模な合同軍事演習を実施し、先月にはアメリカの原子力空母も参加して韓米日3カ国による共同訓練が実施されるなど、抑止力を強化している3カ国を牽制する狙いがあるとされていますが、対決姿勢を鮮明にすることで内部の結束を図る意図もあるとみられています。

今後も北韓による軍事的な挑発は続くとみられ、韓米両軍は北韓への監視態勢を強化しています。

こうした中、韓国の尹錫悦大統領と日本の岸田総理大臣は6日夕方に電話で会談しました。両首脳は北韓が弾道ミサイル発射を繰り返していることを受けて、韓米及び日米同盟による抑止力を持続的に強化し、韓日両国間でも緊密に連携していくことが重要だとの認識で一致しました。

両首脳による電話会談は尹錫悦大統領の就任後初めてです。

一方、国連安全保障理事会は5日に緊急会合を開き、北韓が日本上空を通過する弾道ミサイルを発射したことについて協議しましたが、中国とロシアの反対で新たな対策を打ち出せずにいます。

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