北韓の金正恩（キム・ジョンウン）朝鮮労働党委員長の異母兄、金正男（キム・ジョンナム）氏が先月マレーシアで殺害された事件で、北韓は、マレーシア現地で、独自の調査に乗り出したもようです。
現地のメディアが21日に伝えたところによりますと、実行犯として起訴されたインドネシア人のシティ・アイシャ被告（25）が住んでいたクアラルンプール郊外で、最近、アイシャ被告の知人を訪ねまわる北韓当局の要員とみられる人物たちの姿が捉えられたということです。
これらの人物は、自らについて、「政治的陰謀を調べるために平壌（ピョンヤン）から来た」と語っているということです。
北韓は、金正男氏の殺害事件について、「マレーシア警察が政治的目的で捜査の結果を歪曲している」と主張し、捜査結果を信用できないとして、マレーシア側に「共同捜査」を提案していますが、断られています。
北韓は、事件への関与を否定し、殺害された人物も「キム・チョル」だとして金正男氏とは認めず、死因についても猛毒の神経剤「VX」によるものではなく、心臓発作だと主張しています。
北韓が独自の調査に乗り出したのは、こうした主張を裏付ける根拠を集める狙いがあるものとみられています。
マレーシアと北韓は、金正男氏の殺害事件をめぐって対立を深め、互いに大使を国外追放にしたうえ、相手国の国民の自国からの出国を禁じていて、こうした問題の解決に向けた双方の交渉で優位に立つための資料収集という見方も出ています。

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