文大統領「北、挑発中止なら条件なしに対話」

文在寅(ムン・ジェイン)大統領が「北韓が核とミサイルによる挑発を中止すれば、北韓と条件なしの対話をすることも可能だ」と述べ、南北対話の条件を緩和したものと受け止められています。
文大統領が15日、ソウルで開かれた6·15南北共同宣言17周年記念式で述べたものです。
南北対話の条件として「挑発の中止」を掲げたもので、非核化の意志を示さなければ対話はできないとしていたこれまでの韓国政府の方針に比べると、条件が緩和されたものです。
文大統領は、1週間前の8日に開かれたNSC=国家安全保障会議で、非核化に向けた兆候がなければ対話はできないとしていました。また、先月30日に行われた安倍晋三首相との電話会談でも、「今は対話する時期ではなく、制裁と圧力を高めなければならない時期だ」として、制裁と圧力に重きを置いていく考えを示していました。
それを「挑発の中止」を対話の前提とする方針に切り換えたのは、北韓の変化を引き出すためのきっかけをつくらなければならないと判断したためとみられています。また、韓半島の非核化を韓国が主導していかなければ、北韓の核問題をめぐる交渉の過程で、韓国が疎外されかねないという危機意識が働いたという見方もあります。
こうした韓国政府の態度の軟化については、このほど、南北関係の発展のためには軍事的緊張を緩和するための措置を取るべきだと訴えた北韓にとっても歓迎すべきものであるという見方があります。
ただ、北韓の対韓国窓口機関である祖国平和統一委員会は14日、声明を出し、核を放棄する意思がないことを改めて強調しています。また、今後の交渉で北韓が優位に立つためには、現在開発中の大陸間弾道ミサイルを完成させるのが有利なため、北韓が韓国側の呼びかけに応じるかどうかは不透明な情勢です。
いずれにしても今月末に開かれる韓米首脳会談の結果をみて、北韓の態度が明らかになるものとみられます。
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