対北制裁で米中対立か 韓国政府の外交力問われる

ICBM=大陸間弾道ミサイルの試験発射を行った北韓に対する国連安全保障理事会の制裁強化決議の採択に向けたアメリカの動きが本格化しています。
アメリカのニッキー・ヘイリー国連大使は現地時間の9日、「われわれは北韓に対する強力な追加制裁を推進する。水割りのような制裁は望まない」と述べ、 新たな制裁決議に北韓向けの原油輸出の禁止など強力な措置が盛り込まれる可能性が高くなっています。
しかし、これに対して中国が簡単に同意することはないというのが大方の見方で、米中の対立が深まることが予想されています。
こうしたことから、制裁と対話を並行しながら北韓問題の解決を図りたいとしている韓国政府の外交路線にも影響が出るのは避けられない情勢です。
康京和(カン・ギョンファ)外交部長官は10日、国会で、8月初旬にフィリピンで開催されるARF=東南アジア諸国連合地域フォーラムの閣僚会議に合わせて北韓の李容浩(リ・ヨンホ)外相と会談する可能性について、「さまざまな状況を考慮し、その契機を最大限活用する」と述べているほか、北韓と取引した中国など第三国の企業を制裁する「セカンダリー・ボイコット」について、「アメリカ側と協議中」と述べていますが、こうした発言について、外交部当局者は「あくまでも原則論的な発言だった」と説明し、過度な解釈を警戒しました。
アメリカが北韓への圧力を強めているなかで、韓国政府が南北間の対話の可能性を探っているとなれば、アメリカの誤解を招くおそれがあります。
また、「セカンダリー・ボイコット」は、主に中国企業を狙ったものとされ、中国を刺激するおそれがあります。
「韓米協調を基本とするなかで、中国との関係をうまく調整していくのが韓国外交の課題」と専門家は指摘しています。
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