原油の禁輸措置は見送り 中国ロシアが反対

北韓が大陸間弾道ミサイルを2回も発射したことを受けて、国連安全保障理事会は6日未明、北韓の外貨収入源を大幅に減らすことになる制裁決議を全会一致で採択しました。
しかし焦点となっていた原油の禁輸措置は含まれませんでした。
中国とロシアが原油の禁輸措置に反対したためです。
中国は北韓への原油供給中止を含む独自制裁に反対する立場です。
中国は年間50万トン程度の原油をパイプラインで北韓に輸出しているものとみられます。
中国が原油の禁輸措置に反対しているのは、まずは技術的な問題があるとされています。
中国の北韓向けの原油は複数の油田で生産され、パイプラインを通じて北韓へ供給しています。
北韓への輸出を停止すれば、多くの油田が生産停止に追い込まれます。
また油を送らなくなると、パイプの中に残った油分が固く固まり、結果として油送の再開が難しくなることなどが予想されます。
もう一つは政治的な理由です。
原油の禁輸措置は北韓経済にまさに致命的だとされ、実現すれば大きな効果が期待されますが、北韓が強く反発して中国に背を向けてしまう可能性もあります。
そうなれば、北韓に対して影響力を行使する方法はなくなり、一方北韓が核開発をさらに進める可能性も排除できません。
ということもあって、中国としては原油の禁輸措置に慎重にならざるを得ないのが現状です。
また、中国にとって北韓問題は、アメリカに対する貴重な外交カードでもあり、簡単にアメリカの要求を受け入れるとは思えません。
中国の王毅外相は6日、決議について、「北韓の核・ミサイル開発を抑制することが目的だが、6か国協議の再開を呼びかける目的もある」と述べ、対話による解決を目指す中国の方針を改めて示しました。
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