韓国を国賓として訪れたアメリカのトランプ大統領は８日午前、国会で演説し、韓米同盟の強固さを強調する一方、北韓に対して「アメリカは対立を望まない」と述べ、北韓問題を平和的な方法で解決していく意向をほのめかしました。
アメリカの大統領が韓国の国会で演説を行うのは７回目で、1993年７月のクリントン元大統領が在韓アメリカ軍の駐留継続を約束する演説をして以来、およそ24年ぶりとなります。
トランプ大統領は、演説の冒頭で韓国の伝統的ながらもモダンな美しさに驚いたとしたうえで、「韓国人と文大統領の暖かい歓待に大きな感銘を受けた」と感謝の気持ちを伝えました。
その上で、「両国の友情は、およそ７０年前の韓国戦争でともに戦う中で芽生え、その後さらに強くなってきた」として、アメリカと韓国の同盟の強固さとその歴史的な意味を強調しました。
そして、「韓国は戦争の惨禍を乗り越え、世界で最も強くて豊かな国の一つになった。奇跡のようなことが起きた」と述べ、韓国の経済成長と民主化を称えました。
しかし、「韓国の奇跡は休戦ラインで止まった」とした上で、北韓の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が政権維持のため、北韓住民の人権を蹂躙し、核やミサイル開発に莫大なお金を費やしていると指摘し、中国やロシアを念頭に「責任ある国なら、北韓の野蛮な体制を孤立させなければならない」と述べ、国際社会の圧力強化を訴えました。
さらに、「われわれを過小評価したり試そうとするな」と警告し、「アメリカや同盟が脅されたり攻撃されることを絶対に許さない」と強調しました。
一方で、トランプ大統領は「北韓が完全な非核化に応じるならば、北韓にとって良い将来を提供する用意がある。アメリカは対立を望まない」と述べ、北韓に対して対話を呼びかけるとともに北韓問題を平和的な方法で解決していく意向をほのめしました。
また、演説では、韓国との自由貿易協定（FTA）を見直しなど通商問題については一切触れませんでした。
トランプ大統領の演説は、およそ34分間行われ、演説が終わると与野党議員などから起立拍手を受けました。
一方、国会周辺では、トランプ大統領の韓国訪問を歓迎する集会と反対する集会が同時に行われました。
トランプ大統領は午後、大統領専用機で次の訪問先、北京に向けて出発しました。

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