金委員長の「段階的措置」 その真意は

中国を訪れた北韓の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が、「韓国とアメリカが善意でわれわれの努力に応え、平和と安定に向けた段階的措置をとれば、朝鮮半島の非核化問題は解決できる」と話しましたが、これは、アメリカのトランプ大統領との会談を前に、韓国とアメリカの平和的措置を前提条件とする「段階的非核化」の立場を示したものとみられます。
平和的措置は、韓米合同軍事演習の中止や韓国駐留アメリカ軍の撤収、米朝平和協定の締結、北韓への制裁の緩和など、北韓の体制保証とされます。
金委員長は、今回の中国訪問によって、南北首脳会談と米朝首脳会談を控えて、トランプ大統領に先にメッセージを投げかけたとみられます。
ただ、トランプ大統領は、条件なしの非核化を望んでいるため「段階的非核化」に同意するかは不明です。
丁世鉉(チョン・セヒョン)元統一部長官は、金委員長が「段階的非核化」に言及したことについて、29日、マスコミとのインタビューで、「アメリカ大統領補佐官に指名されたジョン・ ボルトン氏は、北韓がいわゆる『リビア方式』を取るべきだとしたが、北韓は、これを拒否した。北韓の非核化の善意を信じれば、行動を取るという方式で問題を解決していくことで、中国と合意したとみられる」と話しています。
また、こうした北韓の非核化のロードマップがアメリカと衝突する可能性については、「いわゆるリビア方式では、解決しないと韓国がアメリカを説得すべきだ」と述べました。
リビアでは、2003年に当時のカダフィ大佐が大量破壊兵器を廃棄することで合意。そして8年後、カダフィ大佐は欧米の支援を受けた反政府武装勢力によって殺害されました。
北韓は、核開発計画の放棄など武装解除すれば命取りになると判断しています。
こうしたなか、朝中首脳会談に同席した中国の外交担当トップである楊潔チ国務委員が29日、韓国を訪れ、30日、文大統領と会って、会談内容を説明する予定です。
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