北韓の対韓国強硬姿勢 韓米会談前にけん制か

北韓はこのところ、韓国に対する強硬姿勢を強めており、その理由として、「韓国側に4月27日の南北首脳会談で採択された板門店(パンムンジョム)宣言を履行する意志がない」と指摘しています。
北韓は、今月11日に始まった韓米合同軍事演習である「マックスサンダー」について、板門店宣言に盛り込まれた「敵対行為の全面的な中止」に違反するものだと反発し、韓国が集団脱北した北韓レストラン従業員を北韓に送還しないことについては、人道的問題の解決に向けた努力が足りないと主張しています。
また脱北者団体による大型風船を使ったビラの散布は、軍事境界線一帯でのビラ散布を中止するとした合意を破ったものであること、さらに2016年に脱北して韓国に亡命した太永浩(テ・ヨンホ)元イギリス駐在北韓公使が、このほど北韓の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長を非難する会見を行ったことは、板門店宣言の基本精神に反するものだとしています。
しかし、韓米合同軍事演習の「マックスサンダー」は前から予定されており、脱北女性従業員やビラの散布は、政府の介入に限界があります。
それを知らないはずがない北韓が、これらの問題を一気に持ち出して非難を強めているのは、別の思惑があるとみられています。
これについて専門家は、米朝対話で一方的にアメリカの味方をすることがないよう韓国をけん制する狙いがあると分析しています。
北韓がいつまで韓国に対する強硬姿勢を強めるのか、まずは、現地時間の22日にワシントンで開かれる韓米首脳会談の結果がカギを握るとみられています。
[Photo : YONHAP News]