米朝首脳会談中止 北韓に最終通告か

アメリカのトランプ大統領は現地時間の24日午前、北韓の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長に書簡を送り、シンガポールで6月12日に行うことになっていた米朝首脳会談を中止することを通告しました。
書簡では、「北韓が示した直近の怒りや敵意を考えると、現時点での会談は不適切だ」としています。
これは、北韓が、今月16日に金桂冠(キム・ゲグァン)第1外務次官の談話、そして24日に崔善姫(チェ・ソンヒ)外務次官の談話を発表し、アメリカを激しく批判していることが背景にあるとみられています。
トランプ大統領は、22日に文在寅(ムン・ジェイン)大統領と会談した際、冒頭発言や記者の質問への回答で、「北韓の非核化のやり方を含めた条件が整わなければ、6月12日に予定されている米朝首脳会談を延期する可能性もある」と述べていました。
これに対し、北韓の崔善姫外務次官は24日に談話を発表し、「われわれはアメリカに対話を哀願しないし、アメリカがわれわれと対座しないというなら、あえて引き止めないであろう」としたうえで、米朝首脳会談の予定通りの開催について、「全的にアメリカの決心と行動にかかっている」としています。
また、金桂冠(キムゲグァン)第1外務次官も16日に「アメリカが一方的に北韓の核計画放棄を主張するなら、首脳会談を再考せざるを得ない」と表明していました。
トランプ大統領のこれを「敵対心や怒り」と受け止めた形となりましたが、「アメリカの要求を受け入れなければ首脳会談は行わない」という警告を発することで、北韓から最大の譲歩を引き出す狙いがあるものとみられています。
トランプ大統領が会談中止を表明したことから、12日に予定されていた首脳会談は開かれないものとみられています。
ただ、トランプ大統領は韓米首脳会談の際に「米朝会談が開かれない可能性が相当にある」としながらも、「それは長い間会談が開かれないということではない。われわれが会談を開くよい機会はある」と述べ、6月12日の開催は延期される可能性はあるものの、それは延期であって中止ではなく、近い将来に会談は開かれるという態度を示しています。こうしたことから、北韓の核問題を対話を通じて解決しようとする枠組みが崩れたわけではないとの見方が出ています。
こうしたなか、米朝首脳会談について話し合うため、今週末にシンガポールで行われることになっている朝米の当局者による実務協議が、予定通り行われるのかに注目が集まっています。
[Photo : KBS News]