金正恩委員長訪中 中国との関係強化で米けん制

北韓の金正恩国務委員長は米朝首脳会談から1週間が経った19日、再び中国を訪問しました。
米朝首脳会談後、北韓は今のところ非核化のための具体的な措置は取っておらず、非核化に向けたアメリカとの協議も始まっていない状況で、金正恩国務委員長が再び中国を訪問したことについて、アメリカと中国の間で最大限の利益を確保する狙いがあるとの見方があります。
金正恩委員長の今回の中国訪問はいろいろな目的があるとされています。
まず、習近平国家主席に米朝首脳会談の結果を説明し、今後の対応について協議することです。
金正恩委員長は習近平国家主席に、終戦宣言や平和協定締結、非核化に向けた具体的な措置などについて、中国と連係していく考えを表明したものとみられます。
また、中国との連係を強調することで、非核化に向けた具体的な措置を待っているアメリカをけん制する狙いがあるとされます。
金正恩委員長は、中国とアメリカの間で巧妙にバランスを取り、制裁の早期解除など、自国に有利な形で非核化を進める狙いがあるとみられます。
トランプ大統領は17日、8月に予定されていた韓米合同軍事演習を一時的に中止する考えを明らかにし、北韓の要求を部分的に受け入れる形となりました。
高麗大学教授の徐鎭英(ソ・ジンヨン)さんは、中国にとって北韓の戦略的価値が増しているとしたうえで、中国は終戦宣言や平和協定締結など、非核化に向けた措置が進められる過程で段階的に北韓に対する制裁を緩和することが必要だとしていて、北韓は中国を背に負って、非核化に向けた具体的な措置に関するアメリカとの協議で制裁の緩和を要求してくる可能性が高いと指摘しました。
金正恩委員長は中国との関係強化を通じて、制裁の緩和や経済協力の拡大を進めようとしているということです。
習近平国家主席は金正恩委員長との会談で、北韓の経済発展や住民の生活向上を支援する意向を表明したということです。
[Photo : YONHAP News]