平壌のカーパレードの高級車 国連が制裁違反か調査

文在寅(ムン・ジェイン)大統領が南北首脳会談のため、ことし9月に平壌を訪れた際、北韓の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長とともに乗って平壌市内をカーパレードした高級車などについて、国連安全保障理事会の対北韓制裁委員会が制裁決議に違反しているかどうかを調査していることがわかりました。
アメリカの政府系放送、自由アジア放送が29日、対北韓制裁委員会の関係者の話として報じたところによりますと、文大統領が平壌を訪れた際に乗った高級車などぜいたく品の北韓への持ち込み経路について調査を行っているということです。国連が注目している車は、文大統領がことし9月18日に平壌を訪れた際に金委員長とともに乗って平壌市内をカーパレードしたオープンカーで、ベンツの量産車「メルセデス・マイバッハS600プルマンガード」を改造したものと推定されます。
アメリカ商務省は、平壌での首脳会談直前のことし9月4日、北韓に防弾車を違法輸出した容疑で中国人1人とこの人が経営する会社「シージェットインターナショナル」、香港の「ZMインターナショナル」などを制裁リストに含めています。商務省は当時、過去の北韓の軍事パレードに登場したベンツ車両が、欧州で製造されたあとにアメリカで防弾装置が追加され、中国を経て北韓に入ったと判断しました。
自由アジア放送は、ワシントンの北韓制裁専門家の話として、文大統領が金委員長とともに乗った車のモデルは、2008年以降生産されたもので、国連の制裁によって北韓への持ち込みが禁じられているぜいたく品であるため、対北韓制裁委員会の調査が必要だと説明しました。
これに加えて、文大統領の平壌万寿台創作社への訪問と金委員長からの贈り物のマツタケ2トンについても制裁違反の調査を行っていると伝えました。
安保理は去年8月に、外貨稼ぎの窓口を遮断するため、北韓の体制宣伝用の作品を制作し、取引する万寿台創作社を制裁対象に含めています。
また、金委員長からの贈り物、マツタケ2トンは、北韓農産物の供給、販売、移転を禁じている北韓制裁に反するとして議論を呼びました。
しかし、北韓から制裁対象品目の商品を買い入れれば制裁違反となりますが、そうでないため、今回の調査は、文大統領や韓国当局をターゲットにしたものではないとみられます。
[Photo : YONHAP News]