金委員長の年内ソウル訪問 実現するか?

文在寅大統領は、主要20カ国・地域(G20)首脳会議が開かれたアルゼンチンのブエノスアイレスでトランプ大統領と首脳会談を行い、「非核化に向けた動きに弾みをつける」との認識で一致しました。
アメリカと北韓は、1回目の米朝首脳会談が開かれて以降は、実質的な非核化と制裁の緩和をめぐって神経戦を展開していて、非核化交渉は目立った進展がありませんでした。
非核化をめぐる交渉が停滞する中、これまで米朝間の仲裁役を果たしてきた文在寅大統領としては、何らかの突破口を探す必要があり、その方法として 米朝首脳会談に先立って金正恩国務委員長のソウル訪問を進めることにしたもようです。
そして、今回の韓米首脳会談で、このことをトランプ大統領に説明し、了承を得た形となりました。
米朝首脳会談に先立って金正恩委員長のソウル訪問が実現するのは難しいというのが一般的な観測でしたが、今回の米朝首脳会談でトランプ大統領から了承を得ただけでなく、金委員長に伝えてほしいメッセージも受け取ったことから、金委員長の年内のソウル訪問が実現するかどうか関心が集まっています。
ただ、問題なのは、金正恩委員長の決断です。
11月末のメディアの報道によりますと、南北はソウルで3日間の日程で首脳会談を開催することでほぼ合意し、時期としては12月の14日、あるいは15日から金正恩委員長がソウルを訪問する方向で調整が進んでいるとされていました。
しかし、今のところ大統領府青瓦台は具体的な時期については言及を避けています。
米朝の非核化交渉が進展しない状況では南北関係の進展も難しいということを知っているからです。
史上初めて北韓の最高指導者がソウルを訪問することになれば、南北関係改善に向けた破格の合意などの成果が必要ですが、合意したにしてもアメリカの同意なければ合意を実行に移すのは難しいのが現状です。
また、北韓では12月に翌年の経済開発計画といった国家戦略を練るなど、忙しい時期で、金正恩委員長も翌年の新年の辞を準備するために多忙な時期で、こうした時期にソウル訪問するのは少なからず無理があります。
ソウル訪問で南北関係に何らかの変化がある場合、新年の辞に反映しなければなりませんが、どういった形で新年の辞に反映するかを検討する時間が短いという問題もあります。
ということで、金正恩委員長としては年内ソウル訪問に少なからず負担を感じるしかありません。
金正恩委員長が年内にソウルを訪問するかどうかはまだ分かっていませんが、もし年内にソウルを訪問することになれば、今後の南北関係や米朝非核化交渉にも少なくない変化が予想されます。
[Photo : YONHAP News]