開城工業団地・金剛山観光 北韓が再開提案

北韓の金正恩国務委員長は新年の辞で、前提条件や代価なしに開城工業団地や金剛山観光の事業を再開する用意があると述べました。
また韓国政府に対して、南北間の協力と交流を全面的に拡大、発展させなければならないと強調しました。
問題は、開城工業団地や金剛山観光は、北韓に対する国連安保理制裁が続いている現状では再開することは難しいということです。
二つの交流事業を再開するためには、制裁の例外として認められる必要があります。
二つの交流事業は南北間で合意したからといって再開することができるわけではなく、制裁を主導しているアメリカも同意しなければ事実上不可能です。
こうした北韓の提案は、アメリカに対して制裁の緩和を間接的に求めるとともに、韓国に対しては事業再開に向けた努力を促す意味があったとみられます。
金正恩委員長が事業再開を提案したことで、新年早々からこの問題が南北米の主要課題として浮上する可能性が出てきました。
韓国の国家情報院傘下の国家安保戦略研究院はこうした提案について、北韓としてはいつでも事業を再開することができることから、韓国に対して、アメリカや国連を相手に制裁緩和を積極的に求めていくよう求める狙いがあるとしています。
また、匿名を希望した在日本朝鮮人総連合会の関係者は、アメリカが独自制裁を解除し、韓国と日本も同様の措置を取るべきだ、そうなれば開城工業団地事業や金剛山観光事業はいつでも再開できると述べました。
一方、金正恩委員長は新年の辞で、完全な非核化に向けた確たる意思を再確認しました。
北韓住民に対して、肉声で非核化の意思を表明したのは初めてです。
ただ、完全な非核化に向けた追加の具体的措置については言及しませんでした。
このため、仲裁者の役割をしている韓国としては、北韓に対しては二つの交流事業再開に相応する非核化の措置について、アメリカに対しては制裁の例外措置認定を打診するものとみられます。
金剛山観光は、韓国人観光客射殺事件が契機になって中断され、開城工業団地事業は北韓による核実験を繰り返したことで中断しました。
北韓が核実験を中止したことから、再開できないこともありません。
趙明均(チョ・ミョンギュン)統一部長官は、今後の北韓との交渉で事業再開を念頭に制裁解除以前にできることは何かについて模索していきたいと述べました。
こうした中、文在寅大統領が金正恩委員長の新年の辞にどういった反応を示すかに関心が寄せられています。
[Photo : YONHAP News]