北韓 米朝首脳会談の1か月前に交渉担当を交代

北韓が2回目の米朝首脳会談をわずか1か月あとに控え、会談の議題を調整する実務責任者を交代させた、その思惑に注目が集まっています。
北韓は、ビーガン北韓担当特別代表のカウンターパートとして、これまでの崔善姫(チェ・ソニ)外務次官の代わりに、スペイン駐在北韓大使を務めたキム・ヒョクチョル氏を新たに指名しました。
北韓のメディアは24日、北韓の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長がアメリカから帰国した金英哲(キム・ヨンチョル)労働党副委員長から報告を受けた席に、キム・ヒョクチョル氏と、国連駐在北韓代表部惨事を務めたパク・チョル氏も同席している場面を写した写真を公開しました。
これに先立ち、ポンペイオ国務長官は現地時間の22日、ビーガン特別代表が新たに指名されたカウンターパートと会ったと明らかにしました。
ビーガン特別代表とキム氏は、金英哲副委員長一行のワシントン訪問期間中、別に実務交渉を行ったとされています。
しかし、ビーガン特別代表がこのあとすぐに、スウェーデンで崔善姫外務次官と接触したことや、北韓のメディアがキム氏を「米朝高官級会談代表団」という表現にとどめたことなどから、「交代」よりは「拡大再編」とみるべきだという声も出ています。
外交消息筋は、「現在、米朝交渉は、金英哲副委員長を中心に展開されていて、ビーガン特別代表と崔外務次官の協議も、金副委員長の総括の下で行われている」と話しています。
一方、韓国政府の資料によりますと、キム氏は、2010年にエチオピア駐在大使に就き、2011年からはアフリカ連合駐在北韓代表部の常任代表とスーダン・南スーダン共和国駐在大使を兼任したあと、2014年からスペイン駐在北韓大使を務めましたが、おととし9月、北韓の弾道ミサイルの発射を受けて、スペイン政府によって国外追放されました。
政府消息筋は、キム氏のスペイン駐在北韓大使以降のポストは、確認できないが、外務省の局長級と推定されると話しています。
北韓が、キム氏を米朝交渉に投入し、新たな肩書きを与え、アメリカとの交渉を専門的に担当するようにした可能性もあります。
北韓の核問題など対北韓政策を専門的に担当するビーガン特別代表のように、アメリカとの踏み込んだ交渉を念頭に置いて、外務省の職制を再編した可能性もあるということです。
キム氏の抜擢を、北韓の対米、対韓半島戦略の変化ととらえる見方もあります。
北韓が、アメリカとの非核化交渉と、金委員長がことしの新年のあいさつで明らかにした平和協定締結に向けた多国間交渉を同時に進める「ツートラック」戦略に切り替えたのではないかという指摘です。
これについて外交消息筋は、「今後、キム氏がアメリカとの交渉を、崔外務次官が平和協定締結のための多国間交渉をそれぞれ担当する可能性もある」と話しています。
[Photo : YONHAP News]