亡命した北韓の元駐英公使が自由韓国党に入党 総選挙出馬へ

最大野党「自由韓国党」は10日、4月の総選挙で2016年に韓国に亡命した太永浩(テ・ヨンホ)元イギリス駐在北韓公使を擁立すると発表しました。
比例代表ではなく、ソウルの選挙区の候補者として公認するということです。
太氏は、北韓のイギリス大使館で大使に次ぐ地位でしたが、2016年8月に、金正恩(キム・ジョンウン)体制に対する不満や、子どもの将来などを理由に、北韓を逃れ、韓国に亡命しました。
脱北した北韓外交官としては最も地位が高い人物として知られています。
亡命後は韓国内で、北韓の金正恩体制を批判する記者会見を開いたり、本を出版したりしてきました。
総選挙に向けては、北韓との対話と交渉を重視する文在寅(ムン・ジェイン)政権を批判し、票の獲得を狙うものとみられています。
ただ、太氏は、北韓による襲撃を受ける可能性があるため、警察官4人の警護を受けており、ほかの候補者に比べて選挙活動が制約されるのは避けられない見通しです。
太氏は、朴槿恵(パク・クネ)政権では国家情報院の国家安保戦略研究院で諮問研究委員として勤務していましたが、現政権発足後に辞職しています。
太氏は11日記者会見し、「私が韓国の国会議員、しかも選挙区で当選した議員となれば、北韓の体制と政権の維持に中枢的役割を担っている北韓のエリートたちと世界各地で勤務する私の元同僚である北韓の外交官たち、とりわけ自由を渇望する北の善良な住民が、希望と確信を持つことになるだろう」としたうえで、「北韓の体制と政権を誰よりも深く知っている自分が、その経験と専門性をもとに、国民誰もが共感できる真の統一政策を立案し、実践できるようにする」と強調しました。
[Photo : YONHAP News]