脱北者らによる体制批判のビラ散布で韓国への非難を強めていた北韓は、9日正午から南北間のすべての通信連絡線を遮断・廃棄すると北韓メディアを通じて報じました。
北韓側は9日午前の南北共同連絡事務所の業務開始の通話をはじめ、軍の通信連絡線などすべての通話に応じていません。
北韓の朝鮮中央通信は、金正恩（キム・ジョンウン）国務委員長の妹、金与正（キム・ヨジョン）党第１副部長が８日の会議で、韓国関連事業を「対敵事業」に切り替えるべきだと強調したと伝えました。 
そのうえで、金党第１副部長は、段階別の対敵事業計画を検討するとし、第１段階として、南北当局間の通信連絡線や軍の東海・西海通信連絡線、通信試験連絡線、そして韓国の大統領府青瓦台と北韓の朝鮮労働党間のホットラインを完全に遮断・廃棄するよう指示したということです。
脱北者らによる体制批判のビラ散布をきっかけに、北韓は、「崖っぷち戦術」で韓国政府とアメリカに対して強い圧力を加えようとするものとみられます。
南北関係は、去年、ベトナム・ハノイでの米朝首脳会談が物別れに終わって以来、悪化の一途をたどっていますが、今後も当面、厳しい局面が続きそうです。

[Photo : YONHAP News]