北韓ビラ散布禁止法 韓国市民団体「米議会の公聴会開催は内政干渉」

北韓に向けた体制批判のビラ散布禁止などを盛り込んだ韓国の改正法について、アメリカ議会で公聴会を開く動きがあることに対して、韓国の市民団体は、アメリカに対して内政干渉だと抗議する共同声明を発表しました。
南北統一を呼びかける民間団体「6・15共同宣言実践委員会」など421の市民団体は29日、声明を出し、そのなかで、「北韓へのビラ散布の禁止は、南北間での合意事項であり、軍事境界線付近に住む住民の安全と平和を守り、南北間の信頼を回復するための最小限の措置だ」としたうえで、「アメリカ議会に韓国政府の当局者を出席させて公聴会を開く動きや、改正法の見直しを求める声などが出ているのは、明らかな内政干渉だ」と反発しました。
市民団体は、「逆に、アメリカ国内で起こっている人種差別の問題について、韓国国会が公聴会を開くとすれば、受け入れられるか」と問い返しました。
またアメリカ国務省が北韓の人権侵害に関する報酬プログラムなどを通じて、北韓に関する情報収集事業を支援することについても指摘しました。
市民団体などは、こうした内容を盛り込んだ書簡をアメリカ国務省、上下院の外交委員会、アメリカ下院の超党派委員会「トム・ラントス人権委員会」、国連北韓人権状況特別報告者などに送ったと明らかにしました。
北韓へのビラ散布を禁止する改正法は、北韓の体制を批判するビラやUSBメモリーなどを許可なく北韓に送ることや、拡声器で放送することを禁じるもので、違反すると、3年以下の懲役または3000万ウォン以下の罰金が科せられます。
改正法をめぐっては、表現の自由を制限するものだとして論争がありましたが、軍事境界線付近に住む住民の安全を守るための法律ということで、去年12月14日、国会で可決されました。
[Photo : YONHAP News]