北韓、マレーシアとの外交関係断絶 北韓籍男性の身柄引き渡しに反発

北韓外務省は、資金洗浄の罪などに問われたマレーシア在住の自国民をアメリカに引き渡したとして、マレーシアとの外交関係を断絶すると明らかにしました。
また、アメリカも代価を支払うことになると警告しました。
北韓外務省は19日、国営の朝鮮中央通信を通じて発表した声明で、「17日、マレーシア当局が罪のない北韓公民を『資金洗浄』に関与したとしてアメリカに引き渡したため、マレーシアとの外交関係を断絶する」と宣言しました。
マレーシア当局がアメリカに引き渡した人物は、ムン・チョルミョンと言う名前のマレーシアで貿易業を営む50代の男とされます。
FBIアメリカ連邦捜査局は、ムン氏が対北韓制裁に違反して酒類や時計などぜいたく品を購入して北韓に送り、ペーパーカンパニーを通じて資金洗浄を行ったとして、マレーシア当局に身柄の引き渡しを要求しました。
ムン氏は犯行を否定しましたが、マレーシアの裁判所は2019年12月に身柄の引き渡しを承認し、マレーシア最高裁は今月9日、アメリカ当局に身柄を引き渡す決定を下しました。
北韓外務省は、「自国民が資金洗浄に関与したというのは、根拠のない謀略だ」と主張し、「今後起きるすべての結果に対する責任は、マレーシア当局が負うことになる」としました。
また、「今回の事件を背後で操った主犯であるアメリカも、相応の代価を支払うことになる」と警告しました。
マレーシアと北韓は1973年に国交を樹立し、緊密な関係にありましたが、2017年2月にマレーシアのクアラルンプール国際空港で、北韓の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長の異母兄、金正男(キム・ジョンナム)氏が殺害された事件をきっかけに冷え込み、両国は相手国の大使を国外追放しています。
また、北韓がアメリカ・バイデン政権による接触の試みを受け入れていないなか、今回の声明は、アメリカのブリンケン国務長官とオースティン国防長官が韓国を訪問し、核の脅威と人権問題を言及した直後に出されたため、対話の再開にも悪材料になるものとみられます。
[Photo : YONHAP News]