挑発強める北韓 今後ICBM発射の可能性も

北韓が中距離弾道ミサイル「火星(ファソン)12」型の試験発射を行ったことについて、北韓が今後、中距離弾道ミサイルに加え、ICBM=大陸間弾道ミサイルの発射実験を強行する可能性があるという見方が出ています。
北韓のメディアは、北韓が30日、中距離弾道ミサイル「火星12」型の発射実験を通常よりも高く打ち上げる「ロフテッド軌道」で行ったとし、目的は「正確性の検証」で、実戦配備の段階にあることを示唆しました。
北韓は、これまでも通常より高く打ち上げる方式でミサイルを発射し、正確性が検証されたら通常の角度で発射していて、統一研究院のホン・ミン北韓研究室長は、「今回のミサイル発射は2021年1月の党大会で言及した1万5000キロ圏内の対象に対する攻撃能力を段階的に示すことに狙いがある」と話しています。
また、ミサイルに詳しい韓国航空大の張泳根(チャン・ヨングン)教授は、今回のミサイルが2017年5月とほぼ同じ軌道で発射されたことから、「技術的な意味よりも政治的な狙いが大きい」としています。
北韓は、アメリカと対立が激化していた2017年、グアムとアラスカを射程に収める「火星12」型を発射したあと、ICBMに当たる「火星14」型と「火星15」型の試験発射に踏み切っています。
こうしたことから、北韓が故金正日(キム・ジョンイル)国防委員長の生誕80周年を迎える2月16日や故金日成(キム・イルソン)主席の生誕110周年を迎える4月15日などに合わせてICBMを発射し、緊張を高める可能性があるという観測が出ています。
ただ、2月4日には中国で北京冬季オリンピックが開幕する予定で、オリンピック開会中の緊張激化を望まない中国に配慮し、北韓が当面軍事行動を控えると見る向きもあるほか、ICBMの発射は、中国にとっても見過ごせない挑発であることから、北韓はICBM発射にすぐには踏み切らず、アメリカなど国際社会の反応をうかがいながら対応を決めるだろうという見方も出ています。
[Photo : YONHAP News]