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韓米の「ワシントン宣言」 韓国メディアは評価と懸念

ニュース2023-04-27
韓米の「ワシントン宣言」 韓国メディアは評価と懸念

尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領とバイデン大統領が、アメリカが韓国に提供する拡大抑止の強化を盛り込んだ「ワシントン宣言」を発表し、韓米による「核協議グループ」を立ち上げることで合意したことについて、韓国の主なメディアは27日付けの社説でそれぞれ評価と懸念を伝えています。  
 
保守系日刊紙の朝鮮日報は、「『核協議グループ』の創設、韓国の『核の足かせ』強化される」と題した社説で、北韓の核の脅威が高度化するなかで、韓米がNATO=北大西洋条約機構の「核計画グループ」に似た「核協議グループ」を立ち上げることにしたのは、少なからず意味があると評価したものの、韓国国民の不安を根本的に解消する措置は今回もなかったと結論付けました。
 
朝鮮日報は、「NATO式の核共有の基本は、核弾頭がNATO加盟国の空軍基地に配備されているというもので、今回の韓米間の合意とはまったく異なる」と指摘し、アメリカが韓半島に核を配備せず、戦略資産の韓半島周辺への恒久配備もしないと明らかにしているなか、今回のワシントン宣言は、『核協議グループ』の創設の見返りに、韓国の核武装や戦術核の再配備を放棄させた」として懸念を伝えました。
 
さらに、ワシントン宣言で、NPT=核拡散防止条約の加盟国である韓国の義務が強調されたことを異例だとしたうえで、「尹大統領はことし1月に『北韓の核問題が深刻になれば、独自で核を保有することもあり得る』としていたが、アメリカは、これを防ぐためにこの文言を入れたとみられる」と分析しています。
 
一方、核武装論に反対する革新系日刊紙のハンギョレ新聞は、「『核協議グループ』、実効性高めるものの、外交の余地を放棄してはならぬ」と題した社説で、「アメリカは、韓国独自での核武装は『不可』と宣言に明記することで、核武装論の広がりを防ぐと同時に、核の不拡散体制は維持できるようになった」と評価し、「北韓の核問題の解決のためには、対話と外交を通じて突破口を設けることが欠かせない」と強調しました。
 
一方で、今回の韓米による合意が、韓日米3か国による軍事同盟に発展する可能性を指摘し、「アメリカの新しい冷戦の構図に韓国が巻き込まれてしまえば、北韓に影響力の強い中国、ロシアとの関係はさらに危ういものになり、北韓の核の危機や韓半島を取り巻く戦争のリスクも高まる」と、懸念を強調しました。
 
一方、聯合ニュースは、「ワシントン宣言によって、韓国がアメリカの拡大抑止政策により大きな声を出せることにはなったが、事実上、新しいものはない」という評価を紹介しています。
 
また、ワシントン宣言が、韓国に対する米国の拡大抑止は核を含む米国の戦力を総動員して支援されるという立場をあらためて強調したことについて、「アメリカは、韓国国民の間で広がっていた『韓国も独自で核武装をしなければならない』という切羽詰まった認識を変えることを狙ったようだ」という見方を示しました。

[Photo : YONHAP News]

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