韓国の情報機関、国家情報院が数十年にわたって行ってきた北韓向けの放送を今月に入って中断したことがわかりました。李在明（イ・ジェミョン）政権の韓半島の緊張緩和に向けた和解のメッセージとみられます。
 
北韓向けラジオ放送の関係者が21日に明らかにしたところによりますと、国家情報院が運営してきた北韓向けのラジオチャンネルとテレビ放送が、今月に入って送出を中断したということです。
 
韓国社会の利点を強調し、北韓政権の否定的な内容を伝えてきた国家情報院の北韓向け放送の中断は、李在明政権の韓半島の緊張緩和に向けた和解のメッセージとみられます。
 
政権ごとに放送の方向性の違いはありましたが、中断したのは今回が初めてです。
 
これに先立ち、李政権は、南北軍事境界線付近での拡声器による対北韓宣伝放送を中断したほか、北韓へのビラ散布を行っていた民間団体に散布の中断を促しており、今回の措置もその延長線上にあるものとみられます。
 
韓国政府は、南北関係の改善に向けて、人道的協力や文化・体育交流、さらには対北韓制裁に抵触しない個別観光の再推進も検討しています。
 
ただ、民間の放送活動家らは、「情報提供そのものを絶つのは問題だ」とする批判の声も上がっています。北韓内部の通信手段が限られているなか、ラジオは外部の情報を伝える数少ない手段の一つであるとの指摘です。

[Photo : YONHAP News]