ニュース

韓半島 A to Z

論点

ARF議長声明 「重大な懸念」表明

今週のキーワード2017-08-13
ARF議長声明 「重大な懸念」表明

フィリピンの首都マニラで開かれたアジア太平洋地域の安全保障について話し合うARF=ASEAN地域フォーラムは8日、核開発や大陸間弾道ミサイル発射などの挑発を続ける北韓に対し、「重大な懸念」を表明する議長声明を発表しました。
ARFには、ASEAN=東南アジア諸国連合の加盟国に加えて、韓国、アメリカ、日本、中国、ロシア、北韓の外相が参加しました。
声明は、核やミサイル開発を続ける北韓について、「重大な懸念を表明する」としたうえで、北韓に対して、国連安保理の決議を「即時かつ完全」に順守するよう求めました。
昨年の議長声明では「懸念」という表現を使いましたが、ことしは「重大な懸念」と明記し、これまでより強い表現を使っています。
今回の会議では、各国は国連の安全保障理事会で採択された新たな制裁決議を厳格に履行していくことで一致しました。
ただ、アメリカや日本は圧力強化を訴えているのに対して、中国やロシアは制裁だけでなく対話を行うことの重要性を強調し、溝は埋まりませんでした。
中国とロシアが対話を強調していることもあって、声明には、「北韓と韓米がともに軍事的行動を一時停止すべきだ」という中国の提案に、「参加国が注目した」という文言が盛り込まれました。
また、複数の国の外相が、「北韓の人権問題への懸念、南北関係の改善、韓半島に恒久的な平和を実現することへの支持を表明した」とする内容も盛り込まれました。
ARFには北韓の外相も参加しましたが、議長声明には北韓の反論は反映されませんでした。
ARFは北韓が参加している唯一の多国間の安全保障に関する協議体で、比較的中立的な協議体です。
そんなARFで北韓に批判的な声明が発表されたことで、北韓は露骨に不満を表しています。
北韓の代表団は8日夜、議長声明について、「本質をわい曲したアメリカとそれに追従する国々の主張が反映されたもの」で、「核とミサイルは敵視政策を続けるアメリカへの自衛手段」だと主張し、受け入れられないとする声明文を報道陣に配り、強く反発しました。
北韓の代表団が発表した声明文は、「アメリカの敵視政策と核の脅威が終わらないかぎり、いかなる場合でも核と弾道ミサイルを交渉のテーブルに載せない。わが国は責任ある核保有国、ICBM=大陸間弾道ミサイルの保有国として地域の平和と安全を守る」として、核とミサイルの開発を続けるとの姿勢を改めて強調しました。
また、北韓は国営メディアを通じて、アメリカの戦略拠点であるグアム周辺海域を中距離弾道ミサイルで攻撃する作戦を検討していると威嚇したほか、朝鮮人民軍総参謀部は、アメリカが戦争を仕かけるなら「全面戦争で対応する」するとの声明を発表しました。
国際社会の北韓に対する批判は高まっていますが、今のところ北韓が変化する兆しは見えません。

新着ニュース