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露朝首脳会談

今週のキーワード2019-04-27

ⓒKBS News

北韓の金正恩国務委員長とロシアのプーチン大統領は25日、ロシアのウラジオストで初めて首脳会談を行い、両国関係の拡大や非核化プロセスでの協力について協議しました。

2月のベトナム・ハノイでの2回目の米朝首脳会談が物別れに終わったあと、金正恩委員長が外国を訪問するのは初めてです。

金正恩委員長としては非核化交渉の長期化に備えてロシアの協力を確保し、中国やロシアと共同で対応を進める狙いがあったとみられます。

会談はウラジオストクのルースキー島にある極東連邦大学で午後2時過ぎから始まりました。

金正恩委員長は会談で、今後の非核化交渉でロシアと戦略を共有し、共同対応するという考えを表明しました。

また、両国関係について、「友好関係をより新たな高いレベルに発展させるという意志であふれている」と強調し、関係拡大に意欲を示しました。

プーチン大統領はこれに対して、核問題を平和的に解決しなければならないとの姿勢を強調するとともに、非核化の過程でロシアが積極的な役割をすると約束したということです。

プーチン大統領は会談後の会見で、非核化について、「北韓には自国の安全保障と主権を維持するための保証が必要だ」と述べ、国際法的に北韓の安全を保証するために6か国協議が有用だとする考えを示しました。

今回の会談は、2回目の米朝首脳会談が物別れに終わったあとに行われたこともあり、両国の思惑やその背景に関心が寄せられました。

金正恩委員長としては、ロシアとの関係拡大を進めることで中国からもさらなる協力を取り付け、非核化交渉の長期化に備えて、中国やロシアとの連携を強化する狙いがあったとみられます。

一方、ロシアとしては、韓半島情勢に積極的に介入することで、この地域への影響力を維持していく意図があったとされています。

そういう意味で双方の利害はある程度一致していました。

今回の会談で注目されたのは、プーチン大統領が北韓の体制の安全を強調し、そのための方策として「6か国協議」を持ち出してきたことです。

これは北韓との直接対話を通じて非核化を進めるとするアメリカの立場とは相反するものです。

そうなれば北韓の核問題に別の要素が加わり、より複雑になる可能性もあります。

6か国協議という多国間の枠組みは、アメリカとしては少なくとも現段階では受け入れ難い部分があります。

アメリカは制裁を維持することで北韓の核放棄を誘導するとの立場ですが、ロシアがこの問題に積極的に介入すれば、北韓への国際社会の制裁が揺らぐ可能性もあります。

国連安保理の常任理事国であるロシアが安保理の制裁決議に反することをするとは思えませんが、制裁を回避しようとする北韓を多様な方法で支援することは可能だからです。

ロシアが北韓の核問題に積極的に介入してくれば、問題解決に向けた動きは複雑になり、非核化交渉がさらに長期化する可能性もあるとの懸念も出ています。

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