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北韓への損害賠償請求 賠償金の受領困難か

ニュース2023-06-15
北韓への損害賠償請求 賠償金の受領困難か

北韓が南北連絡事務所を爆破したことに対して、韓国政府が損害賠償を求める裁判を起こしましたが、勝訴しても北韓が直接賠償金を支払う可能性は極めて低いだけに、賠償金の受け取りは難しいとみられます。  
 
これまで、北韓を相手取って起こされた損害賠償請求訴訟としては、韓国戦争当時、捕虜として連行され、その後脱北した元国軍兵士と遺族が起こし、2020年7月に原告の勝訴が確定したものがあります。
 
原告側は、北韓と金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長に損害賠償を命じた韓国国内では初めての判決だったと評価していますが、賠償金の財源をめぐってはいまも裁判が続いています。
 
原告側は当時、韓国の南北経済文化協力財団が北韓に送金する著作権料を取り立てて、賠償金の財源とする手続きを進めるとしていました。
 
財団は、朝鮮中央通信など北韓の著作物を使用した韓国の放送局から北韓に代わって著作権料を受け取り、北韓に送金していましたが、北韓への制裁で送金ができなくなったため、著作権料を裁判所に供託していて、その金額はこれまで累計で20億ウォンに上るとされています。
 
しかし、文在寅(ムン・ジェイン)前大統領の側近が理事長を務める財団側が、著作権料の支払いに応じないでいるため、原告側は、財団を相手取って取り立て請求訴訟を起こしました。
 
1審は、財団は北韓の著作権者と韓国の使用者を仲介する役割だけを果たし、損害賠償を支払う「第3債務者」の地位はないと判断し、原告敗訴の判決を出しました。
 
原告は去年1月、これを不服として控訴しました。
 
このほか、1968年に韓国東海岸の蔚珍(ウルチン)に北韓の武装ゲリラ120人が侵入した事件で家族5人を失った男性が北韓と金委員長を相手取って損害賠償を求めた訴訟で、先月、原告勝訴の判決が出ています。
 
裁判所は、北韓と金委員長に対してそれぞれ4000万ウォンと909万ウォンを支払うよう命じました。
 
この訴訟の原告も、南北経済文化協力財団への取り立てを進める予定で、この財団に「第3債務者」の地位を認めるかどうかの法的判断に関心が集まっています。

[Photo : YONHAP News]

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