2016年まで韓国と北韓が共同で運営し、その後は操業が中断されている開城（ケソン）工業団地に、北韓が中国からの投資や注文を取り付けようとしているとみられることから、韓国政府は確認を進めています。
 
統一部の関係者は20日、記者らに対し、「開城工業団地への第3国企業の参加などに関する情報を捉え、関係機関と共に確認を進めている」と明らかにしました。
 
韓国の日刊紙「中央日報」は20日、北韓が開城工業団地に中国企業の投資や注文を誘致するため、中朝国境地帯で活動する企業家に、開城工業団地内の設備や試作品などの写真を送ったと報じています。
 
これについて、北韓が、開城工業団地にある韓国企業が所有する工場設備の一部を中国に売り渡したり、中国企業から注文を受けて工場で製品を製造したりしようとしている可能性があるとの見方が出ています。
 
統一部の関係者は、「開城工業団地は、韓国政府と韓国企業の資産であり、無断で使用すれば違法だ」とし、「誰であろうと、開城工業団地を無断で使用した場合、政府は、法的措置を含めて、可能なあらゆる措置を取る」と強調しました。
 
大統領室の関係者も20日、記者らに対し、「北韓が、韓国を排除して、開城工業団地を利用するため、中国からの投資の誘致をはかっているという情報をつかんでいる」としたうえで、「国連による対北韓制裁に違反する可能性があり、中国や北韓に、この問題を注意深く考えることを促している」と述べました。
 
開城工業団地は、南北歩み寄りの象徴として北韓の開城市に、100社以上の韓国企業が工場を建てて2004年末から操業していましたが、北韓の4回目の核実験や長距離ミサイル発射などによる南北関係の悪化を受けて、2016年2月から閉鎖されています。
 
しかし、その後も、北韓が開城工業団地の韓国の設備を無断で使用している様子が衛星画像などで捉えられ、韓国政府は、明白な南北合意違反で、財産権の侵害だとして、北韓に抗議してきました。

[Photo : YONHAP News]